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サッカー フットサル コラム 2021年3月7日

目標は、釜本氏の「202」か?技術の粋を集めた大久保嘉人のゴール

後藤健生コラム by 後藤 健生
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こぼれ球を拾った坂元がゴール前に浮かした時、ペナルティーエリア内にはFC東京のDFがいただけで、“人口密度”は低かった。滞空時間の長いボールが落ちてくる間に大久保はその“空白のスペース”に、相手DFの周囲を巻くようなコース取りで進入してくる。そして、坂元からのボールに軽く頭を合わせてほんのちょっとだけコースを変えて、FC東京のゴールの中に落とし込んだ。

だが、前半の30分過ぎからはFC東京の動きが改善され、次第にFC東京のチャンスが増えてくる。後半に入っても、DFのジョアン・オマリを入れて森重をボランチに上げたFC東京が押し込んで、そして54分にはC大阪のGKキム・ジンヒョンがバックパスをコントロールミス。FC東京の田川が俊足を生かして、このボールを押し込んで同点に追い付いた。

しかし、大久保のショーはまだ終わっていなかった。同点ゴールが決まった直後の58分、右サイドで坂元とのワンツーで抜け出した大久保は、落ち着いて中央の状況を把握。ゴール前の密集を避けて、マイナスのクロスを送り込んだ。これも、100%のキックではない。転がすように、緩いボールだった。清武弘嗣がこれをスルーすると、走り込んできたボランチの原口力が正確に捉えてエリア外からのシュートを決めたのだ。

裏に抜け出した後の落ち着き。そして、しっかりした状況判断に基づいてスピードをコントロールしたボールを送った判断力。

何か、得点王を取っていた頃よりもさらに進歩した大久保がそこにはいた。

レフェリーに対して、いろいろ文句を言うあたりは、若かりし日の、つまりイエローカード・コレクターとしての大久保を思い起こさせるが、今は食ってかかるような剣幕で文句を言うわけではない。レフェリーとのコミュニケーションを計っているのだ。レフェリーの側も、話しかけてくる大久保に対して、カードに手をやるのではなく、きちんと言葉を返しているのが何ともほほえましい。

フロンターレ・サポーターからセレッソのサポーターに譲渡されたという「ヨシ・メーター」数字はどこまで伸びていくのやら。今年の目標は、「200」か? いや、釜本邦茂氏が日本サッカーリーグ(JSL)時代に打ち立てた、二本のトップリーグでの最多得点記録「202」に置いてはどうだろうか?

3試合で4ゴールを決めた大久保にとっては、控え目な数字にも思えるが……。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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