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ファン・デ・ベーク
主力の欠場は、リザーヴにとって大きなチャンスである。
2月6日に行われたエヴァートン戦で、マンチェスター・ユナイテッドのポール・ポグバは右太ももを痛めた。
「調子が上向いていただけに本人も残念だろうが、焦って復帰して再発、というケースだけは避けなければならない。ポールには数週間の安静、治療が必要だ」
オーレ・グンナー・スールシャール監督も、ポグバの欠場を示唆していた。
ドニー・ファン・デ・ベークが、ポグバに代わって中盤センターを務めるのかもしれない。FAカップ5回戦のウェストハム戦に続き、先発の機会が与えられるのかもしれない。
しかし、プレミアリーグのリズムにフィットできず、12試合の出場に留まっている。「ドニーの獲得は長期的プランの一環であり、今シーズンのプレーが彼の将来を左右するわけではない」とスールシャールが語っているとはいえ、ファン・デ・ベークは苦々しい日々を過ごしているはずだ。
2000年代初期から中期にかけてユナイテッドを支え、現在はファン・デ・ベークの古巣アヤックスでCEOを務めるエドウィン・ファン・デル・サール氏は、次にように語っていた。
「いまは我慢のとき。ドニーの才能は申し分なく、ユナイテッドも長い目で見てくれているのだから、焦らずにチャンスをつかめばいい」
周囲の暖かさはせめてもの救いだ。
さて、ファン・デ・ベークの適性は、4-3-3の中盤インサイドといわれている。ブルーノ・フェルナンデスとのコンビで攻撃を支えるイメージだろうか。ただ、今シーズンのユナイテッドは4-2-3-1が基本陣形である。シーズン前半ならいざ知らず、折り返し点をすぎたこの時点で、スールシャールが4-3-3にトライするとは考えにくい。
では4-2-3-1の中盤センター、ウイング、二列目中央に起用されるのだろうか。守備力やプレー強度を踏まえると、中盤センターの優先順位はフレッジ、スコット・マクトミネイ、ネマニャ・マティッチ。ウイングに求められる突破力ではマーカス・ラシュフォード、アントニー・マルシャル、メイソン・グリーンウッドを下まわり、二列目中央ではB・フェルナンデスが特別な光をまとっている。4-2-3-1では、ファン・デ・ベークが割り込む余地はないようにも感じられる。
小気味よいパスで攻撃のリズムを創ろうとするものの、周囲と意思の疎通を図れないまま(あくまでもピッチ上に限って)、シーズンは後半戦を迎えてしまった。前述したウェストハム戦ではなにもできず、72分、B・フェルナンデスに後を譲った。
スールシャールとファン・デル・サールが語ったように、焦る必要はまったくない。しかし、このノーインパクトでシーズン終了を待つのでは男がすたる。ポグバ欠場の間に、どのようなパフォーマンスを見せるのか。居場所を見つけられるのか。ファン・デ・ベークにも意地がある。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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