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アーセナル時代のウィルシャー
本当に嫌な一年だった。
新型コロナっやつにこれほどまで苦しめられるとは、まったく想像していなかった。身内に感染者はいないといっても、まともなはずのニュース番組や低俗で下世話なワイドショーに来る日も来る日もネガティブな情報を流されると、気分が滅入る。
『鬼滅の刃』は性に合わなかったし、『恋つづ』をはじめとする恋愛ドラマに興味を抱くような年齢ではない。『愛の不時着』も『梨泰院クラス』も第一話の途中であきらめた。打倒コロナの救世主にはなってくれなかったって、アニメやドラマの作者に失礼というものだ。ゴメン。
フットボールも世界中で大きすぎるダメージを受けた。多くのクラブが潰れたり、大量の解雇者を出したりしている。レアル・マドリーやマンチェスター・ユナイテッドといった名門でさえ無観客による経済的損失で苦しんでいるのだから、中小、零細のクラブになにが起きても不思議ではない。
それでも選手たちは、感染のリスクを覚悟して懸命に闘ってくれている。スターダムにのし上がろうと野心をむき出す者、長引く負傷から立ち直った者、新天地で復活した者、背中で若者に多くを教えるベテラン……。感動的なシーンも少なからずあった。
ウェストハムのセバスチャン・アレがクリスタルパレス戦で決めたオーバーヘッドはゴール・オブ・ザ・シーズンの有力候補だ。マンチェスター・ユナイテッドのスコット・マクトミネーも、リーズ戦でポール・スコールズを彷彿とさせるスーパーミドルで世界中のサポーターを喜ばせた。
願わくは、こうした風景にジャック・ウィルシャーも加わってほしい。
この夏、ウェストハムとの契約をみずから解除した後、無所属の状態が続いている。来年1月1日で29歳。まだ老け込み年齢ではないが、なぜか色よいオファーが届いていないようだ。ケガが多すぎるからなのか、近代フットボールの成功要素といわれるプレー強度が不足しているのか。
アーセナルの一員としてデビューしたとき、だれもがその輝かしい未来を信じていた。バルセロナの主力を張っていた当時のアンドレス・イニエスタやチャビ・エルナンデスも、ウィルシャーを高く評価していた。繊細なボールコントロールと卓越した状況判断、なおかつ負けん気の強さなど、スーパースターの条件をすべて満たしていたのだが……。
“ガラスの天才” の異名が示すように、度重なる負傷が彼の成長を妨げた。前述した負けん気の強さで無理な姿勢からボディコンタクトを試み、その肉体は何度となく悲鳴を上げた。
しかし、ウィルシャーの才能は錆びてないはずだ。コロナ禍だとしても、この男を欲するクラブは必ず現れると信じたい。
いま、ウィルシャーはロンドン郊外の公園で汗を流しているという。契約書を携えたサンタクロースが訪れることを──。
【筆者注】年内の連載は今回が最後です。今年もお世話になりました。再開は新年1月6日を予定しています。皆さん、無理だけはなさらずに……。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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