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選手に指示を出すモウリーニョ(中央)
【ボールポゼッション率】33・9対66・1
【シュート数】4対22
【枠内シュート数】2対5
【ボールタッチ数】493対794
【パス総数】318対599
【コーナーキック】0対10
攻撃のデータではことごとく下まわりながら、トッテナムは9節のマンチェスター・シティ戦で勝利を収めた。しかも、枠内シュート2本で2-0である。なんという効率のよさだろうか。
カイル・ウォーカーとの対峙を避けるため、ソン・フンミンを右サイドに起用したり、ルーカス・モウラには自陣深めで守りに奔走させたり、トッテナムのジョゼ・モウリーニョ監督はいくつかのプランを練ってきた。
「シティが相手なら重心は低い方がいい。ボールを奪ったらソンの走力を活かしてカウンター」が最善策と考えたに違いない。ボールを支配されても、数少ないチャンスをものにできれば勝ちは勝ちだ。モウリーニョは彼らしい闘い方で、因縁不快ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるシティから3ポイントを奪った。
「現時点で優勝候補筆頭はトッテナム」
本心なのか皮肉なのか、グアルディオラもモウリーニョのチームを高く評価していた。このコメントを借りるまでもなく、今シーズンのトッテナムは悪くない。いやいや、悪くないどころか6勝2分1敗。得失点差でリヴァプールを7上まわり、首位を走っている。21得点はチェルシーの22得点に次ぐ2位、9失点はリーグ最少。攻守のバランスがとれていることは、データのうえでもうかがい知れる。
また、ハリー・ケインは総得点の76・2%にもおよぶ7ゴール・9アシストを記録。今シーズンはライン間に降りてきてボールを収めた後、ラストパスやコンビネーションで多くのチャンスを創出するなど、トップ下でも異彩を放っている。
「ストライカーの評価基準は数字だった。実際、ゴールデンブーツ賞も得点数で争われているからね。しかし、今シーズンのハリーは、ストライカーに対する一般的な評価を変えるかもしれない。凄い男だよ」
モウリーニョも全幅の信頼を寄せていた。
それでも、すべてがうまくいっているわけではない。コンディションが依然として上向かないデレ・アリは、もはや構想外といって差し支えない。シティ戦の81分でピッチを後にしたトビー・アルデルヴァイレルトは、「内転筋を痛めた。軽傷ではない」と、モウリーニョも表情を曇らせていた。
アリがいなくても、タンギ・エンドンベレ、エリック・ラメラ、ジオバニ・ロチェルソでカバーできるとはいえ、アルデルヴァイレルトの代役はいない。ダビンソン・サンチェス、エリック・ダイアー、ジャフェット・タンガンガ……そう、トッテナムはセンターバックが泣きどころだった。
次節はアウェーのチェルシー戦だ。守備陣に不安を抱える状態では、もっとも闘いたくなかったチームのひとつである。モウリーニョにすれば、腕の見せどころではあるのだが……。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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