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ロイ・キーン
マンチェスター・ユナイテッドの元キャプテン、ロイ・キーンが古巣の現状を嘆いていた。
「熱意がまったく感じられない。経験豊かな選手たちはリーダーシップを欠いている」
現役当時のキーンは熱かった。アーセナル戦で試合開始前からパトリック・ヴィエラとつかみ合いを始め、チャンピオンズリーグのユベントス戦では消極的なプレーで好リズムを断ち切ったイェスペア・ブロムクビストを、Fワードで罵倒した。
その熱すぎる性格が多くの軋轢を生み、ジェラール・ピケ(現バルセロナ)のユナイテッド退団につながりもしたが、当時のキャプテンは闘志を全面に押し出すタイプが多かった。
「熱意は十分にあるし、キャプテンを務められる選手だって何人もいる」
キーンの発言に噛みついたのが、現キャプテンのバリー・マガイアである。
???
疑問符をつけざるをえない。マガイアはキャプテンの器ではない。ブライトン戦の追加タイムに追いつかれたとき、絶望感を露わにした。キャプテンであれば、「しょげてんじゃねえぞ! オレたちは絶対に勝てる!」と喝を入れなくてはならなかった。
また、ポール・ポグバは若手に支持されているがリーダータイプではなく、チーム最古参となったダビド・デヘア、人格者のファン・マタも、チーム全体をまとめる強さは持っていない。いずれマーカス・ラシュフォードがキャプテンを務めるのだろうが、まだ23歳。現時点では若すぎるか。
もちろん、いまの時代にキーンのような熱い、いや “熱すぎる” 性格はトラブルの種だ。「パワハラだ」と訴えられかねない。プレミアリーグ全体を見渡しても、言動で諭すタイプが腕章を巻いている。
だが、馬耳東風を決め込み、せっかくのアドバイスを無駄にする者もいる。ミーティング中にテレビゲームに興じたり、チームメイトを一切リスペクトしなかったり……。こんな連中にはきつい言葉も必要だ。
キーンにすれば、古巣の現状は悔しく、元キャプテンとして恥ずかしくもあるのだろう。勝ってニコニコ、負けてもヘラヘラ。彼がプレーしていた当時のユナイテッドは敗れると、いやドローでも、いやいや勝利を収めても試合内容や自分の出来に納得できなければ、憮然としてピッチを去る選手ばかりだったのだが……。
今週末に相まみえるエヴァートンはリシャーリソンとルカ・ディニュが出場停止。シェイマス・コールマンとメイソン・ホルゲートの負傷は回復せず、そけい部を痛めているハメス・ロドリゲスの出場も微妙だ。
ユナイテッドはアントニー・マルシャルの出場停止処分が解ける。主力にけが人もいない。非常に有利なシチュエーション……とはいえ、リーダーシップを欠くユナイテッドは劣勢になると脆い。チャンピオンズリーグのイスタンブール・バシャクシェヒル戦に敗れたショックも引きずっているはずだ。いったい、だれが檄を飛ばすのだろうか。
マガイアからキャプテンらしい熱意を感じたことは一度もない。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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