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頭を抱えるメッシ
2-8……。
チャンピオンズリーグ準々決勝で、バルセロナはバイエルン・ミュンヘンに屈辱の敗北を喫した。8点を奪うことなら想像できるが、その正反対ともいうべき無様な姿をさらすとは、トラウマになりかねない一戦だ。
バイエルン戦の敗北は、当然のようにキケ・セティエン監督を追い詰め……いや、解任は既定路線といって差し支えない。選手との不仲、とくにリオネル・メッシとの関係に大きな亀裂が入っていたため、バイエルン戦で勝利を収めていたとしても、チャンピオンズリーグを制したとしても、セティエンは留任できなかったと考えられる。
さて、新監督はロナルド・クーマンが濃厚だ。91-92シーズンのチャンピオンズカップ(チャンピオズリーグの前身)決勝で右足一閃。バルセロナに初のビッグイヤーをもたらした名DFだったが、みずからの意見を決して曲げない頑固者でもある。現役当時も監督になってからも考え方に柔軟性を欠き、行く先々でトラブルを起こしてきた。バルセロナのリ・スタートにふさわしい指揮官といえるのだろうか。
また、チーム自体がひとつのサイクルを終えようとしている。メッシとルイス・スアレス、ジェラール・ピケは33歳になり、セルジオ・ブスケッツも32歳になった。キャリアの晩年。プレー強度が日に日に落ちていく。メッシはもともと守備の意識が低く、スアレスはリヴァプールでプレーしていた当時の献身性が薄れている。
しかも、クーマンの基本プランはハイライン・ハイプレスだ。メッシとスアレスが適応するとは思えない。ただ、メッシとスアレスを冷遇すればサポーターの反感を買う。放出はもってのほかだ。したがってクーマンはメッシとスアレスの顔色をうかがいつつ……。
選手の力が大きくなりすぎている。監督ではなく、一部の選手がロッカールームをコントロールするケースが増えてきた。本来、指揮官が持つべき現場の決定権を、もうひとりのボスが奪おうとする。派閥抗争が勃発し、チームは空中分解。ここ数年、各所で繰り返されているパターンだ。
メッシは何人かの監督とソリが合わなかった。クーマンは前述したようにトラブルメーカーだ。お互いに我が強く、意見の一致を見る確率は極めて低い。
2019-20シーズン、バルセロナは12シーズンぶりの無冠に終わった。復活のためには一日も早く組織を再構築することだが、絶対的な主力の高齢化、若手の伸び悩み、頑固すぎる性格に疑問符がつく新監督など、せつないテーマを数多く抱えている。
そして早くも、物騒なニュースが飛び込んできた。
「クーマンが監督に就任するのなら俺は辞める」
スアレスが母国ウルグアイのメディアに心情を吐露したという。現時点ではあくまでも噂である。担当者の “過ぎた脚色” かもしれない。しかし、クーマンはクセがある男だ。拒否反応を示す選手も少なくはないだろう。
名門バルセロナ……。前途多難の夏を迎えた。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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