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サッカー フットサル コラム 2020年7月27日

【トップ6総括:アーセナル】変革に向けた心地よい兆し

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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アーセナル vs. マンチェスター・C

今シーズンの総括としては大失敗だ。選手との間に信頼関係を築けなかったウナイ・エメリを解雇し、新監督にミケル・アルテタを起用したものの、チャンピオンズリーグ出場権をまたしても逸した。FAカップ決勝に敗れると、ヨーロッパリーグの出場権も獲得できない。

25シーズンぶりにトップ6も外し、不本意すぎる8位。同じノースロンドンを本拠とするトッテナムの後塵を4シーズン連続で配し、名もなきウォルヴァーハンプトンやシェフィールドをも下まわる屈辱である。

さて、アルテタが監督に就任した昨年12月、アルセーヌ・ヴェンゲル前監督は次のように語っていた。

「アルテタが人格者であることは、この業界でも広く知られている。問題は、クラブがなにをしてやれるか、だ」

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稀代の名伯楽が不安を抱いていたように、アーセナルのフロントは無力だった。率直に言って、アルテタはだれの助けも得られていない。経済的に厳しいのなら、余剰戦力を売却して獲得資金の足しにするべきだった。しかしメスト・エジル、ソクラティス・パパスタスプロス、セアド・コラシナツなどの売り時を完全に誤った。

ディレクター職に就くラウール・サンジェイ、エドゥが現場にプラスをもたらしかと問われれば、心あるサポーターはNOと首を横に振るだろう。

また、メディカル部門も見直さなくてはならない。“野戦病院化” はヴェンゲル体制からの悪しき流れであり、今シーズンも数多くの主力が負傷に倒れ、回復までに長すぎる時間を要していた。メディカルスタッフが作るリハビリメニューに欠陥があるのか、選手たちの取り組む姿勢が問題なのか。

いずれにせよ、選手の健康管理は来シーズン以降の大きなテーマである。エクトル・ベジェリンとキーラン・ティアニーがシーズンの7~8割に出場していれば、ヨーロッパリーグ行きのチケットだけはすでに獲得していたと考えられる。

それでも、ピエール・エメリク=オーバメヤンは22ゴールをゲットした。ブカヨ・サカ、ジョー・ウィロック、ガブリエル・マルチネッリなど、次代を担う若手が次々と頭角を現している。レアル・マドリーからのローン移籍が延長される公算が大きいダニ・セバージョス(マンチェスター・シティが興味津々とも……)は、試合経験を重ねるに連れてプレミアリーグのリズムにフィットしてきた。そして……。

「親身になって世話してくれる」(マルチネッリ)
「アドバイスが的確で、目から鱗が落ちるようだ」(サカ)
「毎日がすてきな勉強」(ティアニー)

多くの選手がアルテタに対する信頼を口にした。この良好な関係は、王者リヴァプールに相通じるものがある。

ブライトン戦の暴言をきっかけに、マッテオ・グェンドゥージはアルテタから遠ざかったものの、2020-21シーズン以降の体制は微速だが整いつつある。FAカップ準決勝でマンチェスター・シティを、プレミアリーグ36節でリヴァプールを破った事実は、成長の証といって差し支えない。

レジェンドのデニス・ベルカンプも、「変革に向けた心地よい兆しが感じ取れる」と満足そうだった。あとはフロントが、どの程度アルテタをサポートできるか、である。


【筆者注】今回から6回にわたり、プレミアリーグのトップ6を “好意的” に総括します。次回はトッテナムを予定しています。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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