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サッカー フットサル コラム 2020年4月8日

打倒リヴァプールのポールポジションへ、チェルシー前進!

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ビリー・ギルモア

「わたしの希望は3年の延長だが、クラブ側は2年。このままでは合意できない」

チェルシーのウィリアンが心情を吐露している。愛するクラブに残りたいものの、契約延長期間で折り合いがつかないようだ。

近ごろ、30代の選手は単年契約が増えてきた。ましてチェルシーは、フランク・ランパード監督が新旧交代を積極的に推し進めている。オリヴィエ・ジルーは退団必至で、ペドロ・ロドリゲスもランパード監督の構想には入っていない。残留濃厚な30代はキャプテンのセサル・アスピリクエタだけだ。

したがって、クラブ側がウィリアンに提示した2年延長は好条件とも考えられる。新型コロナウイルスの影響で、チェルシーのようなビッグクラブでさえも緊縮財政を強いられるかもしれないのだから、ウィリアンは歩み寄った方がいい。

それにしても、今シーズンのチェルシーは若手の台頭が目覚ましい。メイソン・マウント、タイミー・エイブラハム、カラム・ハドソン=オドイ、フィカヨ・トモリなど、1997年から2000年に生まれた選手が周囲の期待に応えている。「なんて落ち着いていやがるんだ!」と、あのロイ・キーンが舌を巻いたビリー・ギルモアはまだ18歳だ。

また、スケールの大きさはだれもが認めるルベン・ロフタス=チークは24歳、エデン・アザールの後継者クリスティアン・プリシッチは21歳、将来のDFリーダー候補といわれるアンドレアス・クリステンセンが23歳と、今後6~7年が約束されたようなチーム編成だ。

しかも、ベテランと若手をつなぐ中堅にエンゴロ・カンテ、ジョルジーニョ、ロス・バークリー、マテオ・コヴァチッチ、アントニオ・リュディガーを擁し、来シーズンからハキム・ツィエク(現アヤックス)が加入。ほぼ隙のない陣容が整いつつある。

ただ、GKと左サイドバックは補強必須だ。ランパード監督もケパ・アリサバラガを見限り、新GKのターゲットをジャンルイジ・ドンナルンマ(ACミラン)に定めたという。しかし、クロスの対応に一抹の不安がある。弱冠二十歳のドンナルンマは将来性豊かだが、プレミアリーグという特異な戦場を踏まえると、バーンリーのニッキー・ポープを第一選択肢にすべきだ。

マルコス・アロンソがコンディションを整えられず、エメルソンも好不調の差が激しすぎる左サイドバックは即戦力が必要だ。

バイエルンのルーカス・アラバは今シーズン限りの退団が濃厚と伝えられ、本人もプレミアリーグの上位チームへの移籍を希望しているようだ。ちなみにアラバのエージェントは、ロマン・アブラモヴィッチがチェルシーを買収する際に尽力したことでも知られるビニ・ザハウィ。この関係が維持できているのなら、交渉は順調に進むかもしれない。

アラバとポープを獲得できれば、チェルシーはパワーアップするだろう。サイクルの終わりが近づいたシティに代わり、打倒リヴァプールのポールポジションに位置することも十分に可能だ。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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