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新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中のスケジュールが狂った。フットボールの世界も例外ではなく、今夏に予定されていたヨーロッパ選手権と南米選手権は、ともに一年間の延期が決まっている。
ただ、ヨーロッパ選手権の延期に伴い、今シーズンを完全に消化する可能性が浮上してきた。FA(イングランド・サッカー協会)のマーク・ブリンガムCEOも次のように語っている。
「いま、われわれはあらゆる事態を想定してプランを練っているところであり、多くのクラブが中途半端な形を望んでいない。もちろん、人々の健康が最優先だ」
中途半端な形とは、現時点でリーグ終了という一部の提案だ。すでに「リヴァプールの優勝が決まった」といって差し支えないプレミアリーグを除くと、各国ともに正念場を迎えている。プレミアリーグもチャンピオンズリーグ出場権、残留・降格はいくつかのドラマが用意されているに違いない。
「ヨーロッパのコンペティションや国内のカップ戦の成績を勝点にプラスする」「今シーズンに限り全チーム残留。チャンピオンシップからリーズとウェストブロム(現時点の1、2位)が昇格し、来シーズンのプレミアリーグは22チーム体制。4チーム降格」などなど、いくつかのアイデアが提示されたようだが、だれもが納得するのは完全決着だ。
FAのグレッグ・ダイク前チェアマンも完全決着を支持するひとりだ。
「リーグ再開の目処は立っておらず、再開できたとしてもいつになるのか、無観客にするのか、1週間で3試合消化するのか、多くの問題を解決していかなくてはならない。しかし、今シーズンを無効にするとテレビ放映権料で莫大な損失を被る。プレミアリーグだけでも、少なく見積もって7億5000万ポンド(約975億円)のロスだ」
また、ラ・リーガも1、2部合わせて6億7900万ユーロ(約815億円)の損失が予想されている。人々の健康が最優先とはいえ、莫大な金額のロスは各クラブにとって死活問題だ。今シーズン無効が破産を招く恐れもある。事態の推移を冷静に見極めながら、無観客、入場数制限など、イレギュラーな形で再開することが、現状では最良の手段かもしれない。
17日、UEFAは「今シーズンは6月30日までに完了する」との方針を打ち出した。クラブとの契約が6月30日で満了する選手の立場を踏まえたものだろう。しかし、新型コロナウイルスの感染が下降線をたどっていなかったら、イタリアのように医療が崩壊している国は、この限りではない。6月30日を意識せず、人々の安全が約束されてからの再開、完結の方が得策ではないだろうか。
同日で契約が切れる選手も、そしてクラブも、今シーズンは特例なのだから穏やかに話し合ってほしい。新型コロナウイルスは目に見えない大敵だ。不安を煽らず、かといって軽視せず、何事につけても丁寧に対応が望まれている。一日も早く、スタジアムに人々の笑顔と歓声が戻ることを──。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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