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ハリー・ケイン:17ゴール・4アシスト
ソン・フンミン:12ゴール・6アシスト
クリスティアン・エリクセン:8ゴール・12アシスト
昨シーズンのトッテナムは計67ゴール(プレミアリーグ)。彼ら3人だけで88・1%にも関与していた。ことし1月、ケインが左ハムストリングの裂傷で長期の戦線離脱を余儀なくされた。エリクセンはインテル・ミラノに去り、2月に入るとソンが右腕を骨折。復帰は早くて5月上旬といわれている。チャンピオンズリーグ決勝進出という、望外の好結果を導いた昨シーズンの主力がリストから消えた。「88%ダウン!?」。トッテナムのサポーターは頭を抱えているに違いない。
今シーズンも彼らの貢献度は高かった。ケインは欠場するまで11ゴール・2アシスト、ソンは9ゴール・7アシストだ。スパーズの総得点は27節終了現在44。移籍志願が災いして出場機会が限られたエリクセンの2ゴール・2アシストを加えると、3人で75%に達している。ジオバニ・ロチェルソがプレミアリーグのリズムにフィットし、ルーカス・モウラが前線でからだをはっているとはいえ、このふたりだけですべてをカバーするのは不可能だ。絶対的な主力を3人も同時に失ったのだから、百戦錬磨のジョゼ・モウリーニョ監督であっても、代替プランを練り上げられるはずがない。
それでも周囲は少なくともトップ4を期待する。27節終了現在、4位チェルシーとは4ポイント差の6位。「主力を欠いてもよくやっている」「直近5試合は3勝1分1敗。チェルシーは1勝2分2敗。オレたちには勢いがある」。ポジティヴな意見が聞こえてきそうだ。
しかし、攻撃は古典的なサイドアタックが軸で、左右の揺さぶりが少ない。前線にボールが入っても、しっかりとキープできる選手がいない。なかなか厳しい状況だ。CLのラウンド16でも、ホームでライプツィヒに0-1の敗北を喫している。
また、モウリーニョ監督のチームらしからぬイージーな失点も目立ち、就任後の9試合でクリーンシートは2試合だけだ。ウォルヴァーハンプトン、マンチェスター・ユナイテッド、シェフィールド、アーセナル、レスターと、トップを争うライヴァルとの闘いで失点を重ねると、CL出場権獲得は難しくなる。
モウリーニョ監督着任後、プレミアリーグは5勝2分2敗。特筆すべきほどではないが、悪くもない。サポーターが批判の矛先を探したいのなら、夏も冬もゴールゲッターを獲得できなかったダニエル・レヴィー会長だ。二度の市場で出し渋った感は否めない。ただ、ケインの代役はどこにも存在しない。ソンが負傷したとき、市場はすでに閉じられていた。
ケインとソンが使えず、エリクセンは旅立った。タンギ・エンドンベレとエリック・ラメラはマッチフィットネスの向上に手間どり、ムサ・シソコはリハビリ中だ。
「早く来シーズンにならないかな」
モウリーニョ監督が珍しく弱音を吐いた。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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