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13日、バルセロナがエルネスト・バルベルデ監督との契約を打ち切った──。
たしかにチャンピオンズリーグでは2シーズン連続で失態を演じている。2017-18シーズン準々決勝、カンプノウで4-1、オリンピコで0-3。アウェイゴールの差でASローマに敗れた。昨シーズンの準決勝もホームで3-0と先行しながら、アウェーで0-4。リヴァプールに大恥をかかされている。
17-18シーズンにバルサの指揮を執った後、ラ・リーガを連覇し、今シーズンも19節終了時点で首位に立っていたが、2-3で敗れたスーパルコパ準決勝のアトレティコ・マドリー戦も含め、直近5試合でわずか1勝。この不振にローマ戦とリヴァプール戦を重ね合わせたのだろうか。やや唐突な印象は拭えないものの、バルサ上層部は今回の決断に至ったようだ。なお、後任はラス・パルマス、ベティスなどの監督経験を持つキケ・セティエンである。
それにしても、今シーズンはビッグクラブの監督が相次いでクビを切られている。プレミアリーグではアーセナル、トッテナム、ブンデスリーガはバイエルン・ミュンヘン、セリエAでもACミランとナポリの指揮官が交代した。現職にとって好ましくない流れである。
なぜなら「首位に立っているバルサでさえ監督を代えた」「バイエルンのような強豪は決断が早い」と雇用主が誤解するからだ。新指揮官就任に伴う高揚感によって、一時的にムードがよくなるケースはある。昨シーズンのマンチェスター・ユナイテッドがいい例だ。ジョゼ・モウリーニョからオーレ・グンナー・スールシャールにスイッチすると、公式戦は10戦無敗。ただ、試合内容はポール・ポグバの好不調に左右され、気分屋のMFを失うと、スールシャールは今シーズンもほぼ無策のままだ。
監督交代によってすべてのクラブが急上昇するわけではない。アーセナルのミケル・アルテタのように正しいビジョンを持ち、クラブ特有の哲学を信じられる者を起用しないかぎり、V字回復は至難の業であることを上層部は認識すべきだ。
10節のレスター戦に0-9の記録的大敗を喫すると、サウサンプトンのラルフ・ハーゼンヒュットルは解任間違いなしといわれたが、13節のアーセナル戦から6勝2分2敗。降格圏から抜け出してトップ10も視野に入れるとともに、チェルシーとトッテナムを1-0と完封し、憎きレスターにも2-1の勝利。チャンピオンズリーグ出場権争いをかきまわしている。復調の要因は3バックから4バックへの変更で最終ラインのサイドが空かなくなったこと、ボールサイドの寄せが鋭くなったこと、そしてガオ・チーシェン会長の信頼だ。「われわれはハーゼンヒュットルとともに闘う」
オーナーとの不和、求心力の低下など、クラブによってさまざまな理由があるとはいえ、監督を代えようとしている上層部は、もう一度足もとを見直すべきだ。総意として新監督を迎えるのか、一部の主力とサポーターのご機嫌をうかがうだけなのか。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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