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サッカー フットサル コラム 2020年1月14日

想定外のアクシデント。ケインとシソコが4月下旬まで戦線離脱

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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モウリーニョ

トッテナムを率いるジョゼ・モウリーニョ監督は、いまこそホグワーツ魔法学校との提携を希望しているのではないだろうか。アルバス・ダンブルドア、ミネルバ・マクゴガナルといった優れた講師が魔法の杖を振り、ありとあらゆる問題を片づけてくれるからだ。病気、ケガを癒すのなら、薬草学に長けたポモーナ・スプラウトとマダム・ポンフリーも欠かせない。クスッと笑ってくださったアナタ、ありがとう。『ハリー・ポッター』はおとなも子供も楽しめる娯楽作だ。

もちろんフットボールもエンターテイメントであり、サポーターを喜ばせる義務がある。ほんの一年近く前まで、モウリーニョは「結果が伴えばサポーターはついてくる」と考えていたが、マンチェスター・ユナイテッドを追われ、トッテナムの監督に就任するまでおよそ11か月もかかったため、これまでのキャリアを自問自答したという。

その結果、内輪に厳しすぎた姿勢を反省し、トッテナムでは努めて明るく振る舞っている。しかし、笑ってばかりもいられなくなってきた。1月2日のサウサンプトン戦でハリー・ケインが、ムサ・シソコが負傷。ともに4月下旬までの戦線離脱を余儀なくされた。

想定外のアクシデントである。ケインのように年間30ゴールを約束できるストライカーが、夏冬問わず市場に出まわるケースは稀だ。シソコは闘いを具現できるMFだ。頼りになることこの上ない。

さらに、クリスティアン・エリクセンはインテル・ミラノへの移籍が濃厚になってきた。モウリーニョは補強プランの見直しを迫られる。中盤はハリー・ウィンクス、エリック・ダイアー、デレ・アリといった現有勢力に加え、ジェジソン・フェルナンデス(ベンフィカ・リスボン)と契約間近、ともいわれている。人員だけは確保できそうだ。

問題は前線である。イギリスの高級紙『ガーディアン』は次のように伝えていた。「ACミランのクシシュトフ・ピョンテクと合意。移籍金は2800万ポンド(約40億円)」。

なぜピョンテクなのだろうか。後半戦だけで30ゴールを決めた昨シーズンの反動か、今シーズンは18試合・4ゴール(3PKを含む)。ズラタイン・イブラヒモヴィッチが7年半ぶりに復帰したため、ミランを追い出される格好だ。また、敵を引き付けるパートナーがいてこそ輝くタイプであり、9番ではない。

前述したようにケインの代役を発掘する作業は困難だ。市場に出まわる推奨株も冬は限定される。しかしピョンテクに2800万ポンドも出せるのなら、プレミアリーグをよく知る者、例えばオリビエ・ジルーに接触した方が得策だ。所属するチェルシーでは序列を落としているものの、強く、柔軟なポストワークはまだ錆びついていない。家族もロンドンの生活に馴染んでいるため、トッテナムから声がかかればジルーは快諾する公算が大きい。そして6月30日までの短期契約なら、必要経費も最小限に抑えられる。トッテナムもジルーもWinWinといえなくはないだろうか。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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