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サッカー フットサル コラム 2020年1月10日

あるときは殊勝に、またあるときは強気にユナイテッドを弄ぶ男

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ライオラとポグバ

やはり〈二枚舌〉だった──。

「ポール・ポグバはマンチェスター・ユナイテッドで育ち、このクラブを愛している。いろいろな不運が重なって今シーズンはあまりプレーできていないが、ユナイテッドで成功したい、タイトルをもたらしたいと心から願っているよ」

「ユナイテッドはポグバを壊した。いや、ペレもディエゴ・マラドーナもパオロ・マルディーニも、あのクラブに行っていたらすべてが台無しになっていただろう。今後、わたしの顧客はユナイテッドとビジネスしない。当然、ポグバもだ。彼にはユベントスのようなクラブが望ましい」

年が明けて、異なるふたつのコメントが業界を賑わせている。発言の主はミーノ・ライオラ。敏腕、もしくは悪辣エージェントとしてつとに知られる男だ。一方で殊勝な、他方では強気に、ユナイテッドを操ろうとしている。当然、オーレ・グンナー・スールシャール監督が反応した。

「あの男はなにか勘違いしているようだ。まるで選手を雇っているかのような発言だが、エージェントは選手に雇われているってことが分かっていない」

この否定を、ライオラは待っていたのではないだろうか。「スールシャールはポグバの気持ちを理解していない」と、世論を味方につけるきっかけが作れるからだ。サポーターの心もつかめずに、むしろブーイングすら浴びるポグバを慮り、ユナイテッドからの脱出を企むに違いない。つい先ごろ、ライオラをエージェントに雇ったジェシー・リンガードも、兄貴分のポグバに追随する可能性も出てきた。

しかし、ライオラの思惑どおりに事が運ぶとは思えない。当コラムでも何度か指摘したきたように、ポグバが熱望するユベントス復帰は難しすぎる。いま、イタリア屈指の名門に、120~130億円ともいわれる移籍金を支払う余裕はないからだ。昨年の夏はパウロ・ディバラ、マリオ・マンジュキッチが交換要員に挙げられたが、現時点で前者は貴重な戦力であり、後者はカタールのアル・ドゥハイルに移籍した。ユベントスはエムレ・ジャンを差し出すって!? ミラレム・ピャニッチならユナイテッドは応じるかもしれないが……。

ポグバのためであれば、ライオラは手段を選ばずに突き進むのだろうか。顧客以外が犠牲になっても、良心が痛まないのだろうか。今回はペレ、マラドーナといったレジェンドの名前を持ち出した(前述)あたりに、多少の焦りも感じられる。進捗状況が芳しくない証だ。

ユナイテッドに残って嫌々プレーするのか、他人様を犠牲にしてまでも移籍するのか。当のポグバは痛めていた右足首にメスを入れた。復帰時期は未定。当然、各クラブの補強戦略に大きな影響を及ぼす。冬の市場はさらに混とんとしてきた。このさきライオラは、ポグバは、いかなる手段でビジネスを有利に進めるというのだろうか。次の一手に注目だ。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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