リヴァプールに襲いかかる1月の過密日程。正気の沙汰ではない

イングランドのリーグカップ準々決勝のカードが決定した。

◆オクスフォード・ユナイテッド対マンチェスター・シティ
◆マンチェスター・ユナイテッド対コルチェスター・ユナイテッド
◆エヴァートン対レスター
◆アストンヴィラ対リヴァプール
※左記がホーム

リーグ1（実質3部）と対戦するシティ、リーグ2（実質4部）を本拠オールド・トラッフォードに迎撃するユナイテッドのベスト4進出はほぼ確実だ。また、プレミアリーグ勢同士の闘いは、今シーズンのパフォーマンスを踏まえるとレスター、リヴァプールが圧倒的に有利だ。

さて、問題は日程である。リーグカップ準々決勝は12月17日～18日に行われるが、年末年始はプレミアリーグが超過密になる。カタールで開催されるクラブ・ワールドカップに出場するリヴァプールに至っては、体力の維持すら難しそうなスケジュールになった。

◆12月4日：対エヴァートン（ホーム）
◆12月7日：対ボーンマス（アウェー）
◆12月10日：対ザルツブルク（チャンピオンズリーグ／アウェー）
◆12月14日：対ワトフォード（ホーム）
◆12月16日：対アストンヴィラ（リーグカップ準々決勝／アウェー）
◆12月18日：クラブ・ワールドカップ準決勝（カタール）
◆12月21日：クラブ・ワールドカップ決勝、もしくは3位決定戦（カタール）
◆12月26日：対レスター（アウェー）
◆12月29日：対ウォルヴァーハンプトン（ホーム）
◆1月2日：対シェフィールド（ホーム）
◆1月4～6日：FAカップ
◆1月11日：対トッテナム（アウェー）

変更の可能性はあるにしても、およそ40日間で12試合。当初、12月21日に予定されていたプレミアリーグのウェストハム戦が順延されたにもかかわらず、正気の沙汰ではない。現状ではリーグカップ準々決勝とクラブ・ワールドカップ準決勝の間隔が中一日。アストンヴィラ戦終了後、チャーター機でカタール入り？　ちょっとできない相談だ。クラブ・ワールドカップは動かせない。リーグカップを順延するしか策はないだろう。英国のタブロイド紙『ミラー』は、「クラブ・ワールドカップが主力、リーグカップは若手の2プラトーン」と推測しているものの、常識的には考えづらい。

ユルゲン・クロップ監督もこう言った。

「リーグ側の日程調整がうまくいかなかった場合、われわれはリーグカップを断念せざるをえない」

さぁ、大変だ。仮にリヴァプールが辞退すると、彼らにラウンド16で5－5からPK戦4－5という大激戦のすえに敗れたアーセナルが準々決勝に進出するのか。アストンヴィラが闘わずして一歩前進するのか。こんなラッキーは二度とない。

前代未聞の出来事に、関係者は対応に追われている。ただ、リーグカップを動かすとしても、どこからかクレームはつく。クロップ監督は、「この問題の犠牲者になってたまるか」とも語っていた。リーグに対するプレッシャーと考えていいだろう。四方が円く収まる解決策は、いまのところ見つかりそうもない。だれかがどこかで妥協しなければ……。

文：粕谷秀樹