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マンチェスター・ユナイテッドを追われておよそ10か月、ジョゼ・モウリーニョはフットボール業界に関わっている。先日のユナイテッド対リヴァプール戦でも、『sky sports』のコメンテイターとして特設スタジオに陣取っていた。同席したのはギャリー・ネヴィル、ジェイミー・キャラガー、グレアム・スーネス。濃いっ!
さて、強豪の監督が解任の危機にさらされるたびに、次期候補としてモウリーニョの名前が浮上する。レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長とは依然として懇意であるとか、パリ・サンジェルマンが接触を図ったとか、その人気は相変わらず根強い。
本人も「ブンデスリーガで指揮を執るためにはドイツ語を会得しなければならない」と、ある程度のリップサービスも心得ている。仮にブンデスリーガでチャレンジするとしたら、やはりバイエルン・ミュンヘンだろう。しかし、新会長の有力候補とされるオリバー・カーンをはじめ、このクラブの上層部は個性派揃いだ。一言居士のモウリーニョとは衝突必至。相容れない関係だ。
しかも、モウリーニョの第一希望は〈リヴェンジ〉である。志半ばでチェルシーとユナイテッドを追われているため、「このまま引き下がってたまるか」と、プレミアリーグ復帰をにらんでいるという。
ただ、リヴァプールとマンチェスター・シティがモウリーニョを招聘するはずがない。チェルシーは監督というポストを軽視してきたが、現時点でフランク・ランパードは安泰だ。ユナイテッドには戻りたくもない。アーセナルはウナイ・エメリの立場が怪しくなってきたとはいえ、彼らのアイデンティティとモウリーニョの哲学は遠くかけ離れている。
残された選択肢はトッテナムだ。マウリシオ・ポチェッティーノ監督と主力の不和がまことしやかにささやかれ、チャンピオンズリーグ第3節のレッドスター・ベオグラード戦で5-0の圧勝を収めた後も、険悪な雰囲気は一掃されていない。トッテナムが抱える問題は根深いと指摘するメディアも少なくはなく、ポチェッティーノ解任→モウリーニョ新監督就任、というシナリオを描いたようだ。
そのシナリオは書き換えだ。トッテナムのダニエル・リービー会長は、常日ごろからポチェッティーノを支持している。つい先日も「夏の市場でうまく立ちまわれず、現場とサポーターの皆さんに迷惑をかけた」と謝罪し、「次のプロジェクトはすでに進行している」とも語っていた。ポチェッティーノが必要としてない選手は、来年1月に必ず放出するという意味だ。
リービーが現体制を支持する限り、モウリーニョはトッテナムの監督になれない。したがってプレミアリーグに復職したいのなら、昨シーズンの上位6チーム以外となる。エヴァートン? ウェストハム? モウリーニョの高いプライドは満たされるのだろうか。年収でも譲歩する必要に迫られる。さぁ、モウリーニョはどこへ行く!?
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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