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やってくれるじゃねえかっ!
U22日本代表が、ミドル3発でU22ブラジル代表を破った。なかなか爽快である。
ミドル3発と聞いて、「偶然なんじゃね?」と訝る人もいるだろう。フフフ、百聞は一見に如かず、である。やはり観てからあれこれ言わないと、選手たちに失礼だ。
日本の陣形はボールを保持しているときが3-4-3、ブラジルに持たれている際は5-4-1。攻守の切り替えがスムーズで、バランスが絶望的なまでに崩れるようなシーンはほとんどなかった。5バックといっても自陣深めに籠城するわけではなく、つねにパスカットを狙っている。しかも、ボールを奪ってからが速い。最終ラインからサイドへ、ライン間へ、あるいは裏のスペースへ、効果的なボールが配されていた。
非ボール保持でも隙がなく、ブラジルの攻撃を遅らせたり、サイドに追い出したりしていた。日本の守備ブロックを崩せないブラジルが、時間経過とともにストレスを溜めていったのは、彼らの表情から読み取れた。15分と81分のPKは、中立地ならノーファウルとジャッジされていた確率が高く、ブラジルにはラッキーだったといって差し支えない。日本は余裕を持って対応していた。
さて、ミドル3発である。28分、田中碧が放った約20メートルの一撃は、〈浮いて沈む魔球〉。ブラジルGKクレイトンは見送るしかなかった。52分にはふたたび田中。1点目同様の20メートル砲が、ブラジルDFリャンコにディフレクトしてゴールに吸い込まれた。68分は中山雄太。彼の左足から放たれたミドルは、うなりをあげるようにブラジルのゴールに突き刺さる。世界レベルの一撃だった。
また、リードを奪ってからは時間稼ぎやオーバーリアクションなど、いわゆるマリーシアでブラジルの神経を逆撫でにする。日本がブラジルにマリーシアなんて、なかなか愉快じゃないか。85分、町田浩樹が退場になった後も慌てず騒がず、日本の若い衆は敵地でブラジルに3-2の勝利を収めた。
この1勝は大きい。結果だけではなく、試合内容でもブラジルに見劣りしなかったのだから、約1年後に迫った東京オリンピックに向けて大きなプラスだ。今後は選手個々がさらなるレベルアップに努力を惜しまず、みずからとチームメイト、ゲームプランを信じて闘いつづければ、上位入賞やメダルも見えてくるに違いない。
3点目を決めた中山も、日本サッカー協会のホームページを通じて頼もしい覚悟を語っていた。
「ここがゴールではなく、まだまだ先があります」
そのとおりだ。今回の1勝は、単なる通過点にすぎない。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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