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はるか昔、日本代表は恵まれていなかった──。
合宿中のランチがカップ麺に握り飯、なんてケースもあったという。スポンサーがついていなかった時代とはいえ、情けないというかせつないというか……。新聞には試合結果しか載らなかったり、テレビのスポーツニュースでスルーされたり、ぞんざいに扱われたこともあった。当時から日本代表に携わっていた方々は、追いかけていたみなさんは、近ごろの人気をどのように感じていらっしゃるのだろうか。ごく一部でブームは過ぎ去った、とも指摘されている。
ま、言いたいヤツには言わせておくか。ブームなんかどうでもいい。日本代表は確実に強くなってる。
9月5日、カシマスタジアムにパラグアイを迎えた一戦で、2-0の快勝を収めた。10日から開幕するワールドカップ2次予選に向け、堅守のパラグアイは格好の相手だった。一人ひとりの守備意識が高く、前線もプレスバックして最終ラインをサポートする。2次予選で相まみえるミャンマー、キルギス、タジスタン、モンゴルは全体のラインを低めに設定し、なおかつ分厚いブロックでホーム、アウェーとも、日本戦ではあわよくば1ポイントを狙ってくる公算が大きい。したがって南米の強国を打ち破れば、2次予選の展望が明るく開けてくる。
23分、大迫勇也のシュートはポストをなめながら、パラグアイGKロベルト・フェルナンデスのニアを抜いた。長友佑都のクロスがパラグアイDFにディフレクトしていたため、合わせるのは難しいハーフボレー。しかし大迫は一切ためわらず、左足を振り抜いた。30分、南野拓実も簡単ではないシュートを決めた。フリーとはいえ、不規則なバウントでボールが南野に渡った。焦ると足首に当てて打ち上げるか、あるいは空振るか。大観衆のため息を誘うシーンはよくみかけるが、南野は冷静に右足で合わせた。2-0。日本は申し分ないかたちで前半を終えた。
2点のアドバンテージで後半を迎えた日本は、時計の進め方を意識しているようだった。ラインを崩さず、攻撃はリスクを最小限に抑えている。「1点でも多く」との指摘は聞こえてくるものの、パラグアイを相手に試合のたたみ方をテストできたのだから、ゲームプランとしては十分にうなずける。2次予選の開幕は9月10日だ。無理なチャンレンジでケガでもしたら元も子もない。
かつて長友が、「タイトルがかかっていない場合、諸外国の選手は手を抜く」と語っていたように、今回のパラグアイは歯ごたえがなかった。湿度85%や長距離移動で、ベストコンディションにはほど遠かったように映った。2-0でも浮かれてはいけない。しかし、勝ちは勝ちである。負けて2次予選を迎えるよりはるかにいい。
さて、中島翔也にひと言だけ。本人も反省しているので、大きな問題にならないだろうが、前半終了間際のリフティングは慎もう。世界には荒くれが数多く存在する。いつか大けがするぞ。挑発もほどほどに。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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