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プレミアリーグの移籍市場は、現地時間8日17時に終了した。マンチェスター・ユナイテッドと交渉していたパウロ・ディバラは、結局ユベントスに留まった。肖像権、エージェントが要求した手数料ともに高額すぎたようだ。バルセロナで苦しむコウチーニョもイングランド復帰は叶わなかった。昨シーズン、補強しなかったトッテナムがフラムからライアン・セセニョン、ベティスからジオバニ・ロチェルソを獲得するなど積極的に動き、アーセナルもディレクターにエドゥが就任した途端にいくつかの交渉がスピードアップしたが、市場全体は比較的静かだった。
しかし、他国の市場は開いている。スペイン、イタリア、ドイツ、フランスは、いずれも9月2日まで新戦力の獲得が可能だ。したがってプレミアリーグ内の移籍はなくなっても、国外に流出するリスクはまだ残されているということだ。しかも、ある選手が「新しいチャレンジ」を示唆していた場合、慰留しても時間の無駄。現状に満足していないのだから、不満分子になりかねない。
なかでもポール・ポグバである。ユナイテッドのオーレ・グンナー・スールシャール監督が「中心選手」と評価しているとはいえ、昨シーズン終了と同時に退団を希望したことは周知の事実である。エージェントのミーノ・ライオラを通じてレアル・マドリー、あるいは古巣ユベントスに秋波を送り、ユナイテッド・サポーターの心証を害した。ポグバの心はスペイン、イタリアに飛んでいる。200億円といもいわれる市場価値が下がらない間に換金すべきだ。
トッテナムではダニー・ローズが放出されるに違いない。左サイドバックではベン・デービス、セセニョンに次ぐ三番手となり、プライドが傷ついた。待遇面に関する不平・不満が多すぎるため、ダニエル・リーヴィ会長とマウリシオ・ポチェッティーノ監督も快くは思っていない。慰留する必要がなくなった。
さて、クリスティアン・エリクセンはどのように扱うべきだろうか。彼もまた移籍を示唆している。ただ、フットボールに取りくむ真摯な姿勢は上層部、コーチングスタッフ、メディア、サポーターにリスペクトされているため、ポグバやローズのような不満分子にはならないだろう。しかし、エリクセンの心がトッテナムから離れたことだけは間違いない。翻意したとして、モチベーションを刺激できるだろうか。
ロチェルソの獲得はエリクセンの退団に備えた人選であるといはいえ、両者を比較するのはナンセンスだ。あらゆる意味でエリクセンが上まわる。できるものなら残しておきたい。ただ、繰り返しになるが彼の気持ちはノースロンドンにない。リーヴィ会長が「国外に移籍するのならやむをえない」と判断した、との情報も伝わってきた。エリクセンの退団は避けられないだろう。トッテナムのダメージは、決して小さくない。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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