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エデン・アザール、ルベン・ロフタス=チーク、カラム・ハドソン=オドイの好調で、チェルシーが持ち直してきた。エヴァートンに0-2の敗北を喫した後は3連勝。対戦相手(カーディフ、ブライトン、ウェストハム)にも恵まれたが、チームの状態は上向きと考えていいだろう。マウリツィオ・サッリ監督も、「アザールはやはり格別。ロフタス=チークとハドソン=オドイもオフ・ザ・ボールの動きがよくなり、戦力として計算できる。新たな選択肢だ」と高く評価していた。
さて、週末の相手はリヴァプールだ。手ごわすぎるが、チャンピオンズリーグの出場権を獲得するためには、たとえアウェーでも……いや、不思議なことにアンフィールドでは負けていない。11-12シーズンの1-4を最後に、リーグカップを含めた昨シーズンまでの7試合は3勝4分。リヴァプールが重視していなかった大会とはいえ、今シーズンのリーグカップも敵地で2-1の勝利を収めている。チェルシーにとってありがたいデータだ。
しかし、スラビア・プラハとのヨーロッパリーグ準々決勝第一戦(アウェー)から中二日。リヴァプールはFCポルトをホームに迎撃したチャンピオンズリーグの準々決勝から中四日。疲労が蓄積した終盤で二日の差は非常に大きく、チェルシーが運動量で上まわる確率は低い。
また、カーディフやウェストハムが実行したように、後方からのビルドアップをアントニオ・リュディガーに限定されるとリズム、テンポが停滞する。このCBはダビ・ルイスと異なり、一本で局面を変えるようなフィードは持っていない。基本的には安全策で、ボールロストを極端に恐れている。
したがってリヴァプールは徹底的にパスコースを封じるか、あるいはロベルト・フィルミーノの執拗なプレスを中心にリュディガーからボールを奪うか。分析チームが緻密に練り上げた対策をもとに、チェルシーのビルドアップを無効化しようとするだろう。
さらに、ジョルジーニョは主導権を握られると辛抱できず、みずからの持ち場を離れる悪癖がある。アウェーのマンチェスター・シティ戦が典型的な一例で、悪夢のような90分だった。リヴァプール戦でも同じ過ちを犯せば、結論はいうまでもない。
そしてサッリ監督のコメントが、またしても周囲をざわつかせている。
「アザールには残ってもらいたいが、もし移籍を望んでいるのだとすれば、受け入れなければならない」
チェルシーはチャンピオンズリーグ出場権獲得のため、毎試合が決勝だ。敗北はターゲットの消失に直結し、モチベーションの大幅な低下を余儀なくされる。一度落ちたものを回復する時間はない。サッリ監督は、アザールの退団を認めるような発言を避けるべきだった。3連勝で上向いたせっかくのムードに、水を注しかねない。
※リヴァプール対チェルシー戦は、4月14日(日) 深夜0:15から『J SPORTS 2』でライブ中継いたします。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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