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えらいこっちゃ、である。
アンデル・エレーラ、ジェシー・リンガード、ファン・マタはハムストリングを痛めている。マーカス・ラシュフォードは足首に違和感を訴え、ネマニャ・マティッチは筋肉系のトラブルだ。さらにマッテオ・ダルミアンとアントニオ・バレンシアも、復帰のめどが立っていない。オーレ・グンナー・スールシャール監督就任以来、公式戦11勝2分1敗と快調に飛ばしてきたマンチェスター・ユナイテッドに、負傷者が続出している。
上記7選手は2月27日に行われるクリスタルパレス戦、3月2日開催予定のサウサンプトン戦も欠場する予定だ。本来であればローテーションし、各選手の疲労回復に充てたいところだったが、2試合とも先週末のリヴァプール戦で最後までピッチに立っていたメンバーを起用せざるをえない。33歳のアシュリー・ヤングに代わってディオゴ・ダロトが、リヴァプール戦でベンチ入りに留まったエリック・バイリー、完全休養だったフィル・ジョーンズも起用される確率は高いものの、チーム全体がリフレッシュできるような余裕はない。
スールシャール体制発足後、見違えるようなアタッキング・フットボールを見せてきたユナイテッドだが、選手層の薄さはだれの目にも明らかだった。とくに中盤はエレーラ、マティッチ、ポール・ポグバの3人が鉄板で、彼らに代わる人材は見当たらない。アンドレアス・ペレイラとスコット・マクトミネイはまだ非力。リヴァプール戦でもベンチの期待には応えられなかった。
しかし、エレーラとマティッチが復帰予定の3月中旬まで、ペレイラとマクトミネーで辛抱するか、あるいはフレッジが突然フィットしないかぎり、中盤の人手不足は解消できそうもない。今冬の移籍マーケットで山東魯能泰山に新天地を求めたマルワヌ・フェライニを懐かしんでも、ボールロストを繰り返す無様な姿を思い出すだけだ。
また、前線もあっという間に手薄になった。復帰間近のアントニー・マルシャルを左サイド、微妙にスリムになってきた(?)ロメル・ルカクを右サイドに配置し、やや引き気味のセンターにアレクシス・サンチェスという並びが妥当ではある。ただ、サンチェスは心身ともに低調で、ユナイテッド移籍後、ノーインパクトだ。タヒス・チョン、エンジェル・ゴメス、ジェイムズ・ガーナーといった下部組織出身のヤングブラッズにチャンスを与えた方が、はるかに効果的とすら思えてくる。
クリスタルパレス、サウサンプトン、パリ・サンジェルマン(チャンピンズリーグ)、アーセナル、ウォルヴァーハンプトン(FAカップ)と続く連戦は非常にシビアだ。スールシャール監督は、どのような人選で苦境を乗り切るだろうか。現役当時、彼はサー・アレックス・ファーガソンの薫陶を受けている。勝負のツボは、心得ているはずだが……。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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