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22節のチェルシー戦は上々の出来だった。1-2で敗れたとはいえ、攻守の切り替えはスムーズだった。今シーズンのなかではベストゲームであり、熱狂的な現地サポーターも満足したに違いない。それにしても……。
ニューカッスルは、なぜ積極的に振る舞えないのだろうか。ラファエル・ベニテス監督は基本的に籠城する。失点を恐れるあまり、必要以上に低く構える。余計なスペースを与えなくないのだろう。22節終了時点の失点31はマンチェスター・ユナイテッド、アーセナルよりも1点少なく、リーグ全体でも8位の好データだが、残念ながらフットボールは、失点数を争う競技ではない。
リヴァプール体制下のリヴァプールでチャンピオンズリーグを勝ち取ったジェイミー・ギャラガー(現コメンテイター)は次のように語った。
「ラファは練習時間の大半を守備の確認に使っていた。前線の選手たちは退屈そうにしていたよ」
人は簡単に変われない。ベニテスにユルゲン・クロップを、ジョゼップ・グアルディオラを求めるのは酷な話だ。しかし、フットボールは日々進化し、情報はアップデートされている。ベニテスがバレンシアを率いてUEFAカップを制したてから15年が経ち、《イスタンブールの奇跡》からも14年が過ぎている。失点回避にウエートを置きすぎたゲームプランは時代後れであり、ジョゼ・モウリーニョもユナイテッドで同じような過ちを犯している。ベニテスは、変わりゆく環境に適応しなければならない。
中盤と前線の個性を再確認すべきだ。1トップのサロモン・ロンドンはポストワーカーとして優れ、耐性も申し分ない。ただ、現状は二列目との距離が大きく開いていたり、ロンドンのプレーアリアが低かったり、点を取るイメージとはかけ離れている。ロンドンにボールが入った瞬間、スピード豊かなケネディ、マット・リッチー、クリスティアン・アツといったタレントは、スイッチを守→攻に素早く切り替えなくてはならない。
また、ジョンジョ・シェルビーとショーン・ロングスタッフはパスレンジが深く、高精度なフィード能力を有するMFだ。アジョゼ・ペレスと武藤嘉紀が相手DFラインと駆け引きして裏を狙う。シェルビー、もしくはロングスタッフのパスが足もとにピタリ。攻撃のイメージは湧いてくる。
オーナーのマイク・アシュリーは強化を疎かにしている。昨年夏もデパートの買収に大金を使った。ベニテスにすれば開いた口がふさがらず、メディアを通じて愚痴のひとつもこぼしたくなる。しかし、みずからのプランが消極的で、3ポイントを得られる内容ではないこともまた事実だ。22節を終えて17位。いよいよ降格圏だ。守るだけでは、プレミアリーグに残留できない。最下位にあえぐハダースフィールドは、1月14日にデイビッド・ワグナー監督を解任した。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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