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マンチェスター・ユナイテッドのオーレ・グンナー・スールシャール新監督は、「多くの選手にチャンスを与える」と公言した。18節のカーディフ戦にアンヘル・ゴメスとジェームズ・ガーナーを帯同し、2019年1月5日開催予定のFAカップ3回戦(対レディング)にはメイソン・グリーンウッドの招集を示唆している。ゴメスはアンダー23、ガーナーとグリーンウッドはアンダー19に在籍する若手で、ベテランを重視したジョゼ・モウリーニョ前監督とは明らかに異なる人選だ。どうやらスールシャール監督は、サー・アレックス・ファーガソの手法を用いるようだ。
さて、監督が代われば人選、戦術も変化する。5-1の圧勝を収めたカーディフ戦を見るかぎり、ハイクロスは激減する公算が非常に大きい。
ロメル・ルカクは苦しい立場に追い込まれるかもしれない。
本人も「筋肉をつけすぎた」と認めたように、今シーズンは動きが重い、重すぎる。ボールコントロールもままならず、ポストワーカーとしてほとんど機能していない。楔が入ってもあっさりボールロスト、というシーンも散見する。スールシャール監督は「多くの選手にチャンスを与える」(前述)が、ルカクのポジションを空けておく余裕はない。一度ついた筋肉を落とすまでにはそれなりの時間がかかる。現状ではFWの3~4番手。1月に復帰するアレクシス・サンチェスのコンディション次第で、ルカクの序列はさらに下がる。
マルワヌ・フェライニも同様だ。MFに必要とされる運動量、敏捷性、状況判断のすべてに乏しく、強みは高さだけ。しかも31歳。急成長が期待できる年齢ではないため、1月の放出も十分に考えられる。イージーミスが多い現状も踏まえると、チーム内の序列は高くない。
ルカク、フェライニとも、この冬は残留確実と思われていた。ところが監督交代で、その立場が急速にぐらつき始めている。モウリーニョが重宝したネマニャ・ヴィディッチ、アシュリー・ヤングも安閑とはしていられないはずだ。アントニオ・バレンシアもお尻に火が付いた。帯同メンバーから除外され、新しい職場を探すことになりかねない。
こうした状況は、かつてユナイテッドでプレーした男たちにも支持されている。エリック・カントナ、ペーター・シュマイケル、さらにデイビッド・ベッカムやポール・スコールズまでもが、新体制に全面的なサポートを確約したという。彼らの熱量はモウリーニョ体制下、いや、デイビッド・モイーズ、ルイ・ファンハールが率いていた当時も感じられなかったレベルに達している。
やはりスールシャールは期待されているのだろう。あるいは鳥肌が立つほどの危機感に、OBの魂が揺さぶられたのか……。モウリーニョ解任からわずか一週間、ユナイテッドは劇的に変わろうとしている。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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