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トッテナムは中三日、アーセナルは中二日。196回目のノースロンドン・ダービーに向け、一見すると日程的な有利・不利がある。しかし、アーセナルは現地時間の11月29日に行われたヴォルスクラ戦(ヨーロッパリーグ・グループステージ第5節)で、大胆なローテーションを図った。遠征メンバーの20人のうち、実に12人がアカデミーの若者たちである。大半の主力はアウェーのウクライナにフライトせず、ロンドンに留まって週末の決戦に備えた。
一方、トッテナムはインテル・ミラノ戦(チャンピオンズリーグ・グループステージ第5節)に出場したメンバーが、おそらく投入される。本稿執筆時点で、ヴィクター・マニャマ、キーラン・トリッピアー、ダビンソン・サンチェス、ムサ・デンベレは負傷のために欠場濃厚だ。
ただ、勢いがある。前節は怒涛のプレッシングでチェルシーに3-1の快勝を収めた。インテル戦は好調ムサ・シソコが攻守で存在感をアピールし、1-0の勝利を飾った。ともにプレー強度が高く、いかにもトッテナムらしいパフォーマンスだった。ロシア・ワールドカップの疲れを引きずっていたハリー・ケイン、クリスティアン・エリクセン、デレ・アリのコンディションが上向き、高い位置でボールを奪えるようになってきた。完成度の高さに定評のあるトッテナムが健康体に近づいてきたのだから、チェルシーとインテルを蹴散らしたのは当然だ。
したがって、ノースロンドン・ダービーはトッテナム有利、とみるのが妥当だろう。アーセナルは後方からのビルドアップに手間どるケースが多々あるため、トッテナムのハイプレスがはまる公算は非常に大きい。しかもウナイ・エメリ体制は、発足して半年足らずだ。マウリシオ・ポチェッティーノ指揮下のトッテナムは5シーズン目。練度に大きな開きがある。
さて、メスト・エジルはどのように扱われるのだろうか。前節のボーンマス戦ではベンチウォーマーに終始している。エメリは「プレー強度、フィジカルを重視した人選」と語ったが、トッテナム戦も肉体的な優劣が勝負の分かれ道になる。アルセーヌ・ヴェンゲル体制下ではアンタッチャブルだったエジルも、いまやポジションは約束されていない。
また、アレクサンドル・ラカゼットのコンディションも気になるところだ。そけい部に強い張りを訴え、ボーンマス戦を欠場したが、彼を欠いた前線はエネルギー不足で、攻守の切り替えが鈍い。ラカゼットを起用できないようだと前からプレスがかからず、自陣に押し込まれる展開が続く。受動的な流れは、是が非でも避けたいところだが……。
ちなみに今シーズンのアーセナルは、リードして前半を終えたケースが一度もない。イニシアチブを握られる確率が高いなかで、エメリはどのようなゲームプランで臨むのだろうか。
※アーセナル対トッテナム戦は、12月2日(日)午後10:50から『J SPORTS 4』でライブ中継いたします。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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