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トッテナムは着実に成長している。
マウリシオ・ポッチェッティーノ体制で迎えた2014-15シーズンは、トップ6との直接対決で2勝2分6敗と叩きのめされた。リヴァプールとマンチェスター・シティにはダブルを食らっている。しかし、翌シーズンから3勝5分2敗、4勝3分3敗、4勝1分5敗と対等の勝負を演じ、今シーズンもリヴァプールとシティには敗れたものの、マンチェスター・ユナイテッドには3-0の快勝。その実力を証明した、といって差し支えない。
さて、週末はチェルシーとのロンドンダービー(アウェー)である。ポチェッティーノ監督就任後は3勝1分4敗。15-16シーズンこそ1分1敗とひとつも勝てなかったが、残る3シーズンは1勝1敗と一歩も譲っていない。苦手意識はなく、ビッグマッチならではの高揚感が選手を刺激するだろう。チェルシーの要注意人物ジョルジーニョをどのようにして無効化するか、ポチェッティーノ監督の人選は興味深い。
ただ、トッテナムは負傷者が気がかりだ。ムサ・デンベレはリハビリ中で、ダビンソン・サンチェス、ダニー・ローズ、キーラン・トリッピアーの出場も疑わしい。ヤン・ヴェルトンゲンはトップチームのフルトレーニングに復帰したが、90分闘えるコンディションを取り戻しているのだろうか。
ヴェルトンゲンとサンチェスを使えないのなら、CBの一角はフアン・ホイスに託すしかない。実戦を重ねるごとに成長しているとはいえ、ラインコントロール、フィード、カバーリングなど、まだまだ中途半端だ。トリッピアが欠場するのなら、右サイドバックの選択肢はセルジュ・オーリエに限られる。運動能力は申し分ないといっても、攻守ともに雑だ。しかも、対峙するのはエデン・アザール。無謀なタックルでFKを与えるシーンが頻発すると、失点のリスクが増大する。チェルシーのマウリシオ・サッリ監督は、自他ともに認める戦術家だ。トッテナムの弱点は先刻ご承知だろう。
そしてもうひとつの注目点は、トッテナムのスケジュールだ。チェルシー戦から中三日でインテル・ミラノとのチャンピオンズリーグ(ホーム)。敗れるとラウンド16進出の道が絶たれる。さらに中三日でアーセナルとのノーズロンドン・ダービー(アウェー)。宿敵との一戦はいつの時代も6ポインターだ。
先述したように、ビッグマッチの連続は独特の高揚感をもたらすとともに、肉体的なダメージが蓄積する。まして、よもやの3連敗を喫するようなら、精神的にもマイナス影響を及ぼすに違いない。
チェルシー戦は単なる1試合ではない。今シーズンのトッテナムを左右する極めて重要な闘いだ。
※チェルシー対トッテナム戦は、11月24日 (土) 深夜 2:15から『J SPORTS 2』でライブ中継いたします。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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