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アーセナルは傷だらけだ──。
エクトル・ベジェリンがすねを、モハメド・エルネニー、ナチョ・モンレアル、セアド・コラシナツはハムストリングを痛めているため、週末のリヴァプール戦(ホーム)に出場できるのか、極めて疑わしい。さらにロラン・コシェルニー、コスタンティノス・マヴロパノス、エインシュリー=メイトランド・ナイルズも依然としてリハビリ中だ。
もちろん、何人かのコンディションが急速に仕上がる可能性はある。その反面、だれも間に合わないリスクもある。仮にベジェリンが欠場すると、右サイドバックの選択はステファン・リヒトシュタイナーただひとり。リヴァプールのスピードに対応できるだろうか。モンレアルもコラシナツも使えなかった場合、左サイドバックはグラニト・ジャカかダニー・ウェルベックか。4バックをあきらめ、3バックを採用するにしても、両ワイドにはこれといった人材が見当たらない。アーセナルのウナイ・エメリ監督は、厳しい人選を強いられる。
また、直近5試合のデータも芳しくない。2分3敗。10得点・17失点。いやはや派手にやられている。アーセナル・ヴェンゲル体制下の数字とはいえ、気分的には不快なだけだ。ロベルト・フィルミーノには3試合続けて1ゴール・1アシストを許し、ユルゲン・クロップ監督就任後のリヴァプールには一度も勝っていない。チームの完成度でも明らかに劣っているため、できるものならベストの布陣で臨みたかったのだが……。
リヴァプールと対戦する場合、些細なミスも命取りだ。後方からのビルドアップに戸惑った瞬間、ゲーゲンプレスの餌食になる。最終ラインを上げると、フィルジル・ファンダイク、もしくはアリソン・ベッカーの正確なロングフィードに裏をつかれ、フロント3にゴールを許す。ルーカス・トレイラが防波堤になったとしても、彼ひとりでは限界がある。前線にはトラジションにすぐれた者を配置すべきだ。サイドにもハードワーカーが必要不可欠だ。
第9節のレスター戦で見せたようなセクシーフットボールをリヴァプール戦でも、と夢を見たら痛い目に遭う。あくまでも泥臭く、プレー強度を緩めず、たとえ不細工でもポイントを奪う……。現実的な戦略・戦術も視野に入れなくてはならない。昨シーズン、エミレーツで行われた一戦は3-3で引き分けているが、当時のリヴァプールにはファンダイクもアリソンもいなかった。
※アーセナル対リヴァプール戦は、11月3日 (土) 深夜 2:15から『J SPORTS 4』で生中継いたします。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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