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サッカー フットサル コラム 2018年10月19日

サー・アレックス退任後のデータとモウリーニョの硬直した采配

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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サー・アレックス・ファーガソン退任後、すなわちエドワード・ウッドワードがCEOとして権力を持ちはじめた2013-14シーズンから、マンチェスター・ユナイテッドはスタンフォード・ブリッジで一度も勝っていない。1分4敗。サー・アレックス体制ラストとなった12-13シーズンは1-0で勝っているのだから不思議なものだ。

この間、ユナイテッドはデイビッド・モイーズ→ルイ・ファンハール→ジョゼ・モウリーニョと監督がコロコロ代わり、プレミアリーグの王座から遠ざかった。一方、チェルシーもモウリーニョ→アントニオ・コンテ→マウリシオ・サッリと、それぞれカラーが異なる指揮官を迎えたが、2回のリーグ優勝を飾っている。そして今シーズンも6勝2分無敗。ユナイテッドは4勝1分3敗。早くも7ポイントもの差がついた。着任早々、その哲学を浸透させつつあるサッリに対し、モウリーニョは就任3シーズン目を迎えた現在も特定の選手に依存している。致し方のない開きだ。

しかも今回、ユナイテッドはけが人だらけである。本稿執筆時点でジェシー・リンガード、アンデル・エレーラ、フィル・ジョーンズ、マルコス・ロホが使えず、ネマニャ・マティッチ、ルーク・ショー、スコット・マクトミネイの出場も疑わしい。この事実に、スタンフォード・ブリッジの苦手意識が加味される。どうあがいても不利だ。明るい材料はなく、チェルシー戦と三日後に控えるユベントス戦(チャンピオンズリーグ)のパフォーマンスが芳しくなければ、大衆紙によるモウリーニョ退陣キャンペーンがふたたび盛り上がるに違いない。

こうした状況を踏まえると、チェルシーが圧倒的に有利だ。アントニオ・リュディガーは鼠蹊部に不安を抱えているが軽症で、3-0の快勝を収めたサウサンプトン戦と同様のスターティング11が考えられる。変更があるとすればロス・バークリーがマテオ・コバチッチに、オリビエ・ジルーがアルバロ・モラタに代わる程度だろう。自陣から少ないタッチ数でビルドアップし、ファイナルサードからはエデン・アザールの単独突破、もしくはコンビネーションによってユナイテッドDFラインの背後を突く……。そう、いつものやり方でイニシアチブを握るのではないだろうか。

ビッグファイトの経験値ではモウリーニョがまさっているとはいえ、ユナイテッドはすべてがチグハグだ。組織的な連動性はほとんど見られず、プレー強度も著しく低い。収束に向かっていると報じられた監督と主力の不和も、いつ再燃するかわからない状況だ。

この勝負、ユナイテッドは苦しい。苦しすぎる。

※チェルシー対ユナイテッド戦は、10月20日(土)午後8時15分から『J SPORTS 4』で生中継いたします。

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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