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「後ろからつなぎたいのなら、GKの人選を改めた方がいい」
「攻撃的MF、もしくはトップ下を得意とする選手が多すぎる」
今シーズン開幕と同時に、アーセナルは疑問視されていた。ペトル・ツェフに精度の高いビルドアップを求めるのは酷であり、メスト・エジル、ヘンリク・ムヒタリアン、アーロン・ラムジーの同時起用は無理がある。案の定、ツェフのフィードは狙われ、なおかつミスも目立ち、エジル、ムヒタリアン、ラムジーは精彩を欠いていた。
しかし、この問題も一気に解決する気配がある。
第7節のワトフォード戦、前半終了間際にツェフが負傷した。左足ハムストリングを痛め、全治一か月といわれている。このアクシデントに伴い、ワトフォード戦も交代出場したベルント・レノが、そのまま第一GKになるだろう。マンチェスター・シティのエデルソン、リヴァプールのアリソンほど足技はすぐれていないが、ビルドアップの技量は及第点だ。ドイツ代表歴を持ち、至近距離から放たれるシュートも鋭い反射神経で対応する。ツェフの衰えが顕著であることも踏まえ、GKは世代交代が図られるに違いない。
さて、ラムジーとの契約更新交渉は決裂した。アーセナル側が提示した条件が低かったのか、ラムジー側が不当に高い週給を要求したのか、真相は闇の中である。ただ、双方ともに歩み寄る姿勢を見せてないため、今シーズン終了後にフリーとなる公算が大きくなってきた。
いま、エメリ監督は割り切らなくてはならない。アーセナルに集中できそうもないラムジーを第二、第三の戦力とし、二列目の中央ははエジルとムヒタリアンのローテーション。その下にルーカス・トレイラを軸とする守備力重視の中盤を配置することが、少しでもトップ4に近づく人選ではないだろうか。
なお、一部の大衆紙が報じた「ラムジーとリヴァプールは相思相愛」が事実だとしても、敵に塩を送るようなまねはそろそろ辞めた方がいい。ロビン・ファンペルシー、アレックス=オクスレイド・チェンバレン、オリビエ・ジルーなどをライバルに手放したダメージは非常に大きかった。ラムジーを放出するのなら、一線級のセンターバック、あるいは縦に強いアタッカーとの交換トレードも検討すべきだ。
ツェフとラムジーには彼らなりの事情があるにせよ、改革には痛みが伴うものだ。アルセーヌ・ヴェンゲル前監督の色を徐々に薄くしていかないかぎり、エメリ監督は過去に苦しめられるだけだ。決断のときがやって来た。
※フルアム対アーセナル戦は、10月8日午後1時からJ SPORTS 2で放送いたします。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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