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サウサンプトンのマーク・ヒューズ監督は、現実的にならなくてはならない──。
週末に対戦するリヴァプールとは選手個々の能力に差があり、チームの完成度でも大きな開きがある。同じリングに上がり、撃ち合うようなプランだけは避けるべきだ。心身ともにストレスが溜まったとしても、守備的な手法がポイント奪取の近道である。
DFは、状況判断に優れた吉田麻也を軸とする5バック。中盤にはパスコースを切れるオリオル・ロメウが必要不可欠で、1トップは耐性の豊かなチャーリー・オースティンが望ましい。あるいは駆け引き上手のシェーン・ロングか。なお、開幕から好調を維持するダニー・イングスは、リヴァプールからのローン移籍。規約により、この一戦には出場できない。
できるかぎりスペースを潰し、一対一では粘り、スコアレスのまま終盤まで持ち込めれば、サウサンプトンにもポイント獲得の可能性が出てくる。ジェームズ=ウォード・プラウズの正確なFKから、吉田の決勝ヘッド! ジャイアイントキリングもありえない話ではないが……。
対するリヴァプールは開幕5連勝。絶好のスタートを切った。モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネの3トップが本領を発揮していないにもかかわらず、早くもリーグ3位の11ゴールを決めている。そして失点2はリーグ最少。攻守のバランスはヨーロッパでもトップランクだ。簡単に倒せる相手ではない。ヒューズ監督はお得意の精神論を振りかさず、賢明、かつ現実的なゲームプランを練り上げる必要がある。
さて、リヴァプールはチャンピオンズリーグのパリ・サンジェルマン戦から中三日。若干のローテーションが考えらえる。ただ、今回はホームゲームであり、主力を休ませるのなら、26日開催予定のリーグカップだろう。対チェルシー戦とはいえ、優先順位の低いコンペティションだ。したがって、現状ベストのメンバーがサウサンプトン戦に投入され、パリSG戦はベンチを温めていたナビ・ケイタが、中盤の一角に組み込まれる公算が大きい。戦力的なマイナスはない。
パリSG戦のストレスから解放されて気が緩むのでは、との指摘がある。翌週に控える《ガチ》のチェルシー戦(プレミアリーグ第7節)から、ナポリ戦(チャンピオンズリーグ第2節)、マンチェスター・シティ戦(プレミアリーグ第8節)と続く日程は非常に厳しく、サウサンプトン戦には集中できないかもしれない、という声も聞こえてきた。たしかに、その危険性は排除できないだろう。
しかし、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督は優秀な戦術家であり、類稀なるモチベーターでもある。ビッグマッチ前後の対処法は先刻ご承知だ。事前の準備を怠るとは思えない。この勝負、リヴァプールが圧倒的に有利だ。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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