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選手が動けなかったのか。指揮官のプランが曖昧だったのか。0-2……。新生アーセナルは完成度の違いを見せつけられ、マンチェスター・シティに屈した。
シティがボールを保持しているとき、アーセナルは4-3-3に構えて対応した。しかし、プレスをかけるわけではなく、分厚いブロックを築くわけでもない。ビルドアップの種類、技術では世界有数のチームと対戦しているにもかかわらず、あちらこちらに空間を提供していた。シティ戦を前に、『Sky Sports』のインタビューに応えたウナイ・エメリ新監督は、「オーガナイス(組織)」という表現を頻繁に用いていたが、集団の共通意識はまるで感じられず、成す術なしといった時間帯も短くはなかった。
また、ビルドアップする際にはGKペトル・ツェフが足もとの不安を改めて露呈したり、CBシュコドラン・ムスタフィがシティの選手を引きつけすぎてパスカットの元凶になったり、みずからのミスでピンチを招く。ベルナルド・シウヴァに決められて2点のビハインドを背負ったシーンでは、ムスタフィ、ソクラティス・パパスタスプーロス、グラニト・ジャカ、ステファン・リヒトシュタイナーが、寄せもしなければ、からだも張らなかった。
試合後、エメリ監督は次のように語った。
「後半はやや持ち直したものの、より積極的にプラスをかけ、相手DFを脅かさなければならない。われわれは、多くの部分で改善が必要だ」
現実は厳しかった。プレシーズンマッチでは好感触だっただけに、シティ戦の完敗は少なからずショックだったに違いない。次節はチェルシーとのビッグロンドン・ダービーである。精神的なダメージを引きずらなければいいのだが……。
一方、シティは足首を痛めているダビド・シルバがベンチにも入らず、ケビン・デブライネもワールドカップ後のフィットネス調整によって60分からの出場になったため、中盤の構成力と迫力を欠いた。それでも、アーセナルのミスに乗じて2点を奪い、試合の主導権はほぼ握っていたのだから、さすがというしかない。戦略の理解度、戦術の実行力でアーセナルをはるかに上まわっていた。
「ときどきぶっ殺したくなるが、ときどきワールドクラスのプレーも見せる」とジョゼップ・グアルディオラ監督が評したバンジャマン・メンディ(アーセナル戦で2アシストを記録)が左サイドバックに定着し、レスターからやって来たリヤド・マフレズが早々にフィットすれば、昨シーズン同様のパフォーマンス、いや、驚愕の連携でライバルを圧倒したとしても不思議ではない。
慢心、負傷者続出、モチベーションの低下といったアクシデントが連鎖しないかぎり、シティは今シーズンも強そうだ。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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