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ロシア・ワールドカップの準決勝に残った4チーム・計92選手のうち、実に43%にも達する40名が、2017-18シーズンのプレミアリーグでプレーしていた。なかでもトッテナムは9人、マンチェスターの両巨頭は7人ずつを送り込み、一大勢力となっている。ただ、プレミアリーグの新シーズンは8月10日(現地時間)のユナイテッド対レスター戦で開幕する。ワールドカップ終了後のインターバルは、1か月弱しかない。心身を再起動する時間としては、あまりに短すぎる。
当然、序盤戦のパフォーマンスにも影響してくるだろう。ケイン、アリ、ローズ、トリッピア、ダイアー(いずれもイングランド代表)、アルデルヴァイレルト、フェルトンゲン、デンベレ(いずれもベルギー代表)、そしてフランス代表のロリスと、トッテナムは大半の主力が疲労を引きずる。シティはウォーカーとストーンズ(イングランド代表)、そしてコンパニ(ベルギー代表)がコンディションに不安を抱えながら新シーズンを迎える。3人ともDFラインの基本メンバーだ。また、ユナイテッドはヤング不在も覚悟しなければならない。33歳のDFはイングランドのために精魂を尽くした。「開幕に間に合わせるように」とは、さしものモウリーニョ監督も厳命できないはずだ。
こうした状況を踏まえると、リヴァプールのダメージは最小限で抑えられるかもしれない。ヘンダーソン(イングランド代表)の回復が遅れたとしても、中盤インサイドはミルナー、ワイナルドゥム、ララーナ、ナビ・ケイタ、ファビーニョと多士済々だ。彼ら5選手はワールドカップに出場していない。ロブレン(クロアチア代表)が調整に手間取るようなら、ファンダイクとマティプに任せておけばいい。彼らもまた、ロシアには行っていない。さらに、負傷でワールドカップを棒に振ったオクスレイド=チェンバレンが、サマーキャンプの初日から合流している。クロップ監督も「準備段階としては申し分ないね」と相好を崩した。
アーセナルも順調だ。イングランド代表にウェルベックを送り込んだとはいえ、このFWはエメリ新監督の構想に入っていない。さらに、トレイラ、パパスタスプーロス、レノ、リヒトシュタイナー、グェンドゥージと、地味ながらポイントを抑えた補強も進めている。今後は優先順位が高くないオスピナ、ジェンキンソン、ウェルベックなどの移籍交渉を素早くまとめ、トップチームの陣容を22~23人に絞り込む予定だ。
もともとの戦力値が高い強豪は、主力のコンディションが整いしだい、必ず巻き返してくる。ただ、くどいようだが新シーズンの序盤はワールドカップの影響により、その力を割り引いて考えなくてはならない。したがって、準備段階で一歩も二歩もリードしているリヴァプールとアーセナルが、ロケットスタートを切る可能性は十二分にある。
☐ お知らせ
次回の『粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL』は7月27日(金)にお届けする予定です。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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