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サッカー フットサル コラム 2018年7月15日

リヤド・マフレズの移籍決定。新シーズンのマンチェスターCとレスターはどうなる?

元川悦子コラム by 元川 悦子
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15-16シーズンにイングランド・プレミアリーグ制覇という歴史的偉業を果たしたレスター。その主役の1人だったリヤド・マフレズが前々から噂されていたマンチェスター・シティにとうとう移籍した。移籍金は89億円と報じられており、この金額はクラブ史上最高額に上るという。それだけマンチェスターCのマフレズへの期待が大きいということなのだろう。

実際、2014年1月から過ごしたレスターでの活躍ぶりは凄まじいものがあった。チャンピオンシップに所属していた13-14シーズン後半戦は19試合出場3得点、プレミアリーグ昇格1年目だった14-15シーズンは30試合出場4得点とそこまで際立った存在感を示してはいなかったが、一気にブレイクしたのが15-16シーズンだ。マフレズは右サイドアタッカーの位置に陣取り、鋭いドリブル突破から中に切れ込んでゴールを奪う形を何度も披露。最終的に37試合出場17ゴールという目覚ましい数字を残した。エースFWジェイミー・ヴァーディーの26試合出場24ゴールには及ばなかったものの、彼ら2大得点源がいなければ偉業達成はあり得なかったと言っても過言ではない。

アルジェリア代表でもヴァイッド・ハリルホジッチ前日本代表監督に才能を見出され、2014年ブラジルワールドカップメンバーに滑り込んだ。ブラジルではベルギー戦1試合に出ただけで、持てる推進力と爆発力の全てを発揮できたわけではなかったが、アルジェリアの史上初のベスト16進出に貢献したのは確かだ。ハリル前監督も事あるごとに「若いマフレズのような選手を引き上げたことがアルジェリアでの大きな成果だった」と語っていて、ボスニア人指揮官に才能を見出されたこともその後の飛躍につながったようだ。

結局、レスターで過ごした4年半では、公式戦179試合に出場し、48得点という目覚ましい数字を残し、ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスターCに買われる形になった。今季プレミア王者の一員になれれば、レスター時代には叶わなかったハイレベルの環境に身を投じることができる。世界トップのアタッカーを目指す意味でも、今回の移籍は至福の喜びに違いない。

ただ、マンチェスターCのサイドアタッカー陣を見ると、イングランド代表として今回の2018年ロシアワールドカップにフル参戦したラヒム・スターリング、ポルトガル代表のベルナルド・シウバといった個の力の高い面々が揃っている。レスター時代のようにマフレズに指定席は与えられないだろう。そこで熾烈な競争を勝ち抜き、右サイドアタッカーのファーストチョイスの地位を確保できれば、彼自身が夢見るUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)タイトル獲得に近づけそうだ。

昨季リバプールに移籍したモハメド・サラーがユルゲン・クロップ監督との出会いによって才能を覚醒させたように、マフレズも名将・グアルディオラ監督の指導によって新たな一面が見られるようになる可能性もある。そういう意味でも新シーズンのマンチェスターCが楽しみだ。

逆にマフレズが去ったレスターは新たな得点源を確保する必要に迫られている。大黒柱のヴァーディーは来季も残る見通しだが、最低もう1人はシーズン10点以上取ってくれる点取り屋がいなければ、2部降格争いに巻き込まれる可能性も否定できない。岡崎慎司がその穴埋め役になれば最高のシナリオだが、今回のロシアワールドカップでもそうだったようにここ最近はケガが多く、シーズン通してのフル稼働は期待できないだろう。

昨季加入しながら不発に終わったケレチ・イヘアナチョがブレイクするか否かも微妙で、いったん復帰するレオナルド・ウジョアやイスラム・スリマニの去就もどうなるか分からない。それだけに、新戦力の補強は必須だろう。

マフレズは単に決定力が高いだけでなく、タテへの圧倒的な推進力で相手守備陣を切り裂くチャンスメーカーとしての能力が傑出していた。加えて守備のハードワークも辞さなかった。レスターが優勝した15-16シーズンは彼やヴァーディー、岡崎といった攻撃陣が献身的守りを見せたからこそ、最高にバランスのいいチームが出来上がった。そういう守備意識の高いアタッカーを見つけるのは容易ではない。

今年のプレミア移籍期限は8月9日と例年になく早いため、新戦力補強を急がなければならない事情もある。マフレズという重要戦力を失った彼らはどのようなチームを構築していくのか。クロード・ピュエル監督の手腕がより問われるシーズンになりそうだ。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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