C・ロナウドの移籍がプレミアリーグに及ぼす影響とは……

白い巨人からイタリアの貴婦人へ──。

7月10日、クリスチャーノ・ロナウドがレアル・マドリードからユベントスに新天地を求めた。移籍金は1億ユーロ(約130億円)。4年契約・年俸3000万ユーロ(約39億円)であることが明らかにされている。

33歳になったいまも強靭な肉体を維持し、日々コンディション作りに余念のない男のセリエA初チャレンジは、必ずしも歓迎されているわけではない。ユベントスのスポンサー企業『FIAT』(イタリアの自動車メーカー)では、従業員の一部が「カネの無駄遣い」と130億円にも及ぶ移籍金に不満を漏らし、ストライキを決行するほどだ。入団会見の日時も設定されていないというのに、いやはやさすがにスーパースター。早くも話題の中心である。

さて、C・ロナウドの移籍はプレミアリーグにも大きな影響を及ぼす。R・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長が、大エースを失って黙っているはずがない。C・ロナウドの慰留が難しくなったとされる4月初旬から、すでに数人の後釜候補をピックアップしていたという。最有力はネイマール(パリ・サンジェルマン)か。しかし、ロシア・ワールドカップにおける不振でトーンダウン。ペレス会長も興味を失いつつある、との情報も飛び交いはじめた。

また、一時「クラブ間合意」が伝えられたキリアン・エムバペ(パリSG)はR・マドリード側が完全否定し、モハメド・サラー(リヴァプール)はメディア作のおとぎ話だった。

ここにきて、エデン・アザール(チェルシー)が急浮上している。ロシア・ワールドカップで完全復活。八面六臂の大活躍だった14－15シーズンに匹敵するハイパフォーマンスを見せ、ポストC・ロナウドの一番手に名乗りを上げた。アザールの実父で、エージェントも務めるティエリ・アザール氏も、「チェルシーとのビジネスは終わった」と、すでにR・マドリー移籍が決まっているかのようなコメントを発している。

さらにチェルシーは、ティボー・クルトワの去就も怪しくなってきた。好守で貢献するケイラー・ナバスをなぜかペレス会長はお気に召さず、ここ数年はマンチェスター・ユナイテッドのダビド・デヘアを執拗に狙っていた。しかし、ユナイテッドの抵抗でターゲットを変更。チェルシーが世界に誇る名GKに触手を伸ばした、というわけだ。かねてからクルトワは、「家族が待つマドリードに帰りたい」と公言してはばからなかった。R・マドリードからオファーが届いたと同時に、身支度を整えるかもしない。

仮にアザールとクルトワが退団すると、チェルシーのダメージは大きすぎる。現地時間の8月9日午後5時に締め切られるプレミアリーグ内の移籍市場で、彼らに匹敵する実力者を獲得するのは至難の業だ。解任が決定的となったアントニオ・コンテに代わり、新監督就任濃厚のマウリツィオ・サッリ(前ナポリ監督)も複雑な心境だろう。エンゴロ・カンテの周辺にはパリSGの影がちらつきはじめた。チェルシーを取り巻く情勢は、好ましくない。