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夜になって多少は涼しくなったものの、日中の最高気温は35℃を記録していた。クロアチア対ロシア戦が行われたソチは、フットボールの環境として好ましくない。酷暑は疲労を増幅し、肉体だけではなく精神的ダメージも引き起こす。しかもクロアチアはスイス戦に続く延長・PK戦で、開催国ロシアに注がれる大声援というプレッシャーにも立ち向かわなければならなかった。
「クロチアチアは心身ともに疲れている。決勝進出のチャンス到来」
決勝トーナメントの流れを踏まえ、イングランドでは準決勝を楽観視するメディアも少なくない。ルカ・モドリッチとマリオ・マンジュキッチは32歳、イバン・ラキティッチが30歳と、クロアチアが誇る〈三大守護聖人〉がベテランと呼ばれる年代に差しかかっているため、中三日で迎えるイングランド戦までにコンディションを回復するのは難しい、と推測している。
たしかにそのとおりだ。コンディションとしてはイングランドに分がある。30代の登録選手はアシュリー・ヤング、ジェイミー・ヴァーディー、ガリー・ケイヒルの3選手だけで、チームそのものが非常に新鮮だ。当然、クロアチアよりもダメージの回復は早いだろう。また、PK戦が導入された1986年メキシコ大会以降、この方式を二度も経験したチームが決勝に進出したケースは一度もない。過去のデータもイングランドをフォローしている。
しかし、クロアチアは試合巧者だ。イングランドの弱点を熟知しているに違いない。マンジュキッチをキーラン・トリッピアとカイル・ウォーカーの間に配置し、空の優位を活かすプランが考えられる。マンジュキッチは190cmの長身だ。対するトリッピアとウォーカーはともに178cm。ミスマッチである。
さらにフォーメーションの構造上、どうしても空きやすくなるジョーダン・ヘンダーソンの両脇を、状況判断に優れたモドリッチとラキティッチが見逃すとは思えない。ピッチ中央部から前後左右に幅広くボールをさばき、守る側のポイントをずらしていく……。ディフェンシブ・サードにおけるファウルが非常に少ないイングランドだが、クロアチアの巧みな攻撃に後手を踏み、危険地域での被FKが増えるリスクも覚悟すべきか。
もちろん、ハリー・ケインの安定感は心強い。挑発にも動じず、クールに振る舞うキャプテンは頼もしい存在だ。主武器のセットプレーでもチャンスを創れるだろう。武闘派ぞろいのクロアチアDF陣だが、今大会のイングランドは訓練され、なおかつデザインされたセットプレーで準決勝に進出した。ノースコアで終わる確率は低い。
それでも楽観視は禁物だ。ワールドカップのような大舞台では、経験値が試合を左右するような場合が多々ある。クロアチアは前回大会と13人が同じ顔ぶれで、EURO16との比較では17人だ。彼らの継続性は貴重な財産であり、イングランドのどこをつついても出てこない強みだ。
そして年齢を踏まえると、三大守護聖人は最後の(?)ワールドカップ。この想いがクロアチア全体に伝播したとき、イングランドの体力的アドバンテージはいっさい通用しなくなるかもしれない。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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