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サッカー フットサル コラム 2018年7月2日

日本史上初の8強のカギはルカク封じ。プレミア経験値の全てを凝縮させたい吉田麻也

元川悦子コラム by 元川 悦子
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2018 FIFA W杯 吉田麻也

2018年ロシアワールドカップもいよいよ決勝トーナメントがスタート。4月にヴァイッド・ハリルホジッチ前監督から西野朗監督へと指揮官が交代し、暗雲立ち込めていた日本代表だが、本番直前から劇的な進化を遂げ、2大会ぶり3度目のグループリーグ突破を達成。アジア勢唯一の16強に名乗りを挙げた。

 

2002年日韓大会はトルコ、2010年南アフリカ大会はパラグアイという優勝候補に挙げられていない相手との対戦だったが、今回はその有力候補と位置付けられる強豪・ベルギーが相手だ。ベルギーはここまでの3試合で9得点。これは1次リーグ最多のゴール数だ。その主たる担い手が、ここまで4ゴールのロメル・ルカク(マンチェスターU)と2ゴールのエデン・アザール(チェルシー)。彼らが揃ってピッチに立った時の相乗効果は非常に高いものがある。

日本が昨年11月にブルージュで彼らとテストマッチを行った時はアザールが欠場。代わってピッチに立ったケヴィン・ミララス(オリンピアコス)にドリブル突破を許し、ルカクへとつながれて失点を喫した。その試合に出ていた酒井宏樹(マルセイユ)は「(アザールとルカクが揃って出ているベルギーは)ホント、笑っちゃうくらい強いと思います」と苦笑いしていたほどだ。「11月の時ですらかなりすごいチームだったので、今はもっと成熟しているし、モチベーションも高いと思う」と彼は付け加えていた。今季UEFAヨーロッパリーグ(UEL)準優勝のマルセイユでレギュラーとして活躍している選手からそういう発言が出るのだから、いかにベルギーの破壊力が凄まじいかがよく分かる。

その強敵を倒すには、まず手堅い守備組織を構築するしかない。そのキーマンとなるのが、イングランド・プレミアリーグで戦っている吉田麻也(サウサンプトン)に他ならない。ルカクやアザール、ケヴィン・デブライネ(マンチェスターC)らと同じピッチに立ち、真剣勝負を重ねてきた経験値はやはり重い。

今の日本代表でプレミアリーグに所属する選手は彼と岡崎慎司(レスター)だけ。その岡崎は28日のポーランド戦(ボルゴグラード)で右足首を悪化させ、ベルギー戦2日前も室内調整を強いられている。ピッチに立てない可能性も少なくないだけに、プレミア勢情報を豊富に持っている吉田にかかる重責はより大きくなるのだ。

中でも彼に託されるのは、エースのルカク封じである。 「11月の失点シーンなんかもそうですが、ルカクの長所を出せるボールをシンプルに入れられると苦しくなると思う。そこに行く前の対応がすごく難しい。ベルギーは両センターバック、両サイドともにボールを出すことができるし、いいボールが入ってくる。ここっていうところを1つ挙げるのは難しい」と背番号22は的の絞り方の難易度が高いことを吐露した。

それでも大型FWを封じなければ、日本は前に進めない。今回スタメンに復帰すると見られる昌子源(鹿島)と息を合わせながら、1人がチェックに行き、1人がカバーに入るといった約束事をより徹底させることが肝要だ。19日の初戦・コロンビア戦(サランスク)でラダメル・ファルカオ(モナコ)を完封したような好連携を見せることができれば、ルカクも苛立ってくる。ルカクがイライラし始めれば、アザールもデブライネも個人プレーに走る傾向が強い。

そういう展開に追い込んだらこっちのもの。24日のセネガル戦(エカテリンブルク)では2度のリードを許しながら2回追いついて勝ち点1を確保できたが、ベルギー戦でその再現は難しいと覚悟して、まずは相手に先手を取らせない状況をできる限り、長く持続すべく、吉田にはしっかりとしたゲームコントロールを見せてもらうしかない。

今大会に入ってからの背番号22の落ち着きと安定感は目を引くものがある。今季プレミアリーグではここぞという状況で手痛いミスを犯し、引き分けられる試合を落としたり、勝てる試合を引き分けたりするケースが何度かあったが、ロシアでの吉田はとにかく頼れる存在だ。そういうパフォーマンスができているのも、2012年夏からイングランドで高いレベルの経験値を積み重ねてきたことが大きいはずだ。

ベルギー戦に関しては、特にその財産が発揮しやすい環境にあるだけに、彼が確実にチームをリードしなければならない。「自分が守備の大きな部分を占めているというのは自覚してます。ここで勝つことができれば、日本の新たな歴史を刻める。そこは非常に大きなモチベーションになっています。8強は僕の夢。今大会最大の目標でもある」と強い決意を口にした守備の要に大きな期待を寄せつつ、2日の大一番を見てみたい。見守りたい。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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