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日本時間の29日午前3時にキックオフされるイングランド対ベルギー戦は、まさしく〈プレミアリーグ・オールスターズ〉。イングランドは全23選手が、ベルギーも主力の大半がプレミアリーグでプレーしている。また、ロベルト・マルティネス監督はエヴァートン、ウィガン・アスレティック(現2部)を率いた経験を持ち、コーチのティエリ・アンリがアーセナルのレジェンドであることは、いまさら説明するまでもない。
ただ、ロメル・ルカクがチュニジア戦で左足首の靭帯を、エデン・アザールもふくらはぎを痛めているため、イングランド戦は回避する見込みだ。足首に違和感を訴えたドリース・メルテンスも欠場濃厚とされている。したがってベルギーの戦線は、アドナン・ヤヌザイ、ミチ・バチュアイ、ナセル・シャドリという構成も考えられなくはない。ヤヌザイはかつてマンチェスター・ユナイテッドに、バチュアイはことし1月までチェルシーに所属していた。ナセル・シャドリはウェストブロミッチ・アルビオンの選手だ。プレミアリーグの香りがプンプン漂う。
さて、ベルギーが抱える問題は3CBの中央だろう。アーセナルのDFリーダーとして名を馳せたこともあるトーマス・ヴェルメーレンは、5月に痛めたハムストリングの回復が思わしくない。キャプテンのヴァンサン・コンパニはそけい部の痛みが再発した。
マルティネス監督はやむをえず、デドリック・ボヤタを起用している。強靭、かつ柔軟なフィジカルを有しながら、いつまで経っても状況判断がよくならないため、14―15シーズンを最後にシティから追われた。トビー・アルデルヴァイレルトとヤン・ヴェルトンゲンが安定しているだけに、今大会もボヤタの頼りなさが目立つ。成長の跡は見られない。コンパニさえ戻ってきてくれれば……。
一方、イングランドはセットプレーが冴えわたっている。キーラン・トリッピアとアシュリー・ヤングが配するストレート系のボールが、ジョン・ストーンズ、ハリー・マクガイアといったストロングヘッダーの力強いヘディングを誘発し、パナマ戦でみせたサインプレーは訓練が行き届いていた。VARの導入により、ペナルティーボックス内のホールディング(守備側)が頻繁にPKをとられている流れを踏まえると、イングランドの主武器は時代にマッチしているのかもしれない。
しかし、基本フォーメーションの3-3-2-2は、ジョーダン・ヘンダーソンの両脇にスペースが生じやすい。そのあたりを利用されると大量失点の恐れもある。エリック・ダイアーとヘンダーソンを並べ、3-4-1-2、あるいは3-4-2-1を採用して中央を締めるのか。
グループリーグと異なり、決勝トーナメントに進出するチームは強豪ぞろいだ。戦闘態勢を万全に整えなくてはならない。両チームとも、いくつかのテストが必要だ。メンバーの大幅な入れ替えも考えられる。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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