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19日の2018年ロシアワールドカップ初戦・コロンビア戦(サランスク)を2-1で勝利し、現段階でグループHの首位に立っている日本。過去5回のワールドカップを見ても、初戦で勝ち点を挙げた2002年日韓(ベルギーと2-2)、2010年南アフリカ(カメルーンに1-0)の2大会はラウンド16に勝ち上がっている。それだけに、日本が大きなアドバンテージを得たのは間違いない。
ただ、24日の次戦・セネガル、28日の最終戦・ポーランドは決して侮れない相手。とりわけセネガルは19日のポーランド戦(モスクワ)を見ても、単にフィジカルを前面に押し出してくるのではなく、全員が組織的にハードワークできるチームだった。キャプテン・長谷部誠(フランクフルト)も「スピードを含めたフィジカル的な部分は間違いなく世界トップレベル。それに戦術的にも多彩で、この前(ポーランド戦)は2トップでやっていたけど、3バックでやる時もあれば、3トップでやる時もある。実際、どのようなやり方をするのかは正直、読めないところがある」と警戒心を露わにしていた。
この強敵から勝ち点3を挙げるのは非常に難易度が高いが、2連勝して早々と1次リーグ突破を決めることができれば、今後を考えても非常にポジティブだ。西野監督は「コロンビア戦をベースにしていく」と大きくメンバーを変えないことを示唆しているため、中4日で選手たちが初戦で見せたようなハードワークと献身的かつ組織的守備を90分間続けていけるのかが気になるところだ。
徹底した堅守から入らなければならないのは当然のことだが、やはりサッカーは得点しなければ勝てない。コロンビア戦でもエースナンバー10を背負う男・香川真司(ドルトムント)のPK弾と、4年前のリベンジを期した絶対的1トップ・大迫勇也(ブレーメン)の2発が決まったから勝てたのだ。セネガル戦でも彼らがゴールしてくれれば、日本代表の勢いはさらに加速する。そういう意味でも連続ゴールへの大きな期待が寄せられる。
日本のこれまでのワールドカップで、1大会2得点した選手は2人しかいない。1人は2002年日韓大会でブレイクした稲本潤一(札幌)。当時イングランド・プレミアリーグのアーセナルに所属していた22歳の若武者はベルギー戦(埼玉)の2点目と2戦目のロシア戦(横浜)の決勝点を叩き出し、一躍スターダムにのし上がった。2人目はご存じの通り、2010年南ア大会の本田圭佑(パチューカ)。初戦・カメルーン戦(ブルームフォンテーヌ)での戦列ゴールは今も多くの人々の脳裏に焼き付いているはずだ。そして第3戦・デンマーク戦(ルステンブルク)の無回転FKによる先制弾も非常に大きな意味を持つものだった。
本田に関しては2014年ブラジルワールドカップ初戦のコートジボワール戦(レシフェ)でも1点を奪っているうえ、今回のコロンビア戦も含めて3大会連続アシストという偉業も成し遂げている。この勝負強さは特筆すべき点だ。ただ、その本田は現在、右太もも打撲で別メニューを強いられていて、セネガル戦でプレーできるか微妙な情勢だ。だからこそ、香川と大迫がやらなければならない。
今大会の香川はこれまでのメンタル面の弱さが一切感じられず、一皮むけた印象が強い。一時は落選危機とまで言われたが、どん底まで行って彼なりの覚悟を持てたのが大きかった。コロンビア戦でPKを奪ったシーンを見ても分かる通り、機を見てゴール前へ一気に出ていくいい時のスタイルが戻ってきている。そういう場面はボルシア・ドルトムントの初期には頻繁に見られた。そのいいイメージを持ってセネガルに挑んでいけば、1~2回の決定機は巡ってきそうだ。
大迫にしても、コロンビア戦の2点に絡むパフォーマンスは素晴らしかった。国内では今、「大迫、半端ない」という言葉が駆け巡っているというが、鹿児島城西高校時代からストライカーとしてのセンスは頭抜けていた。ブラジル大会では国際経験の不足から仕事らしい仕事ができず、本人も絶望感に打ちひしがれたというが、その後ドイツで屈強なDFと対峙しつつ駆け引きや体の預け方、ゴールを奪うツボを体得してきた。こうした経験値が大きな成長の原動力になっている。
セネガルのDFにもサリフ・サネ(ハノーファー)ら対戦経験のある選手がいて、どうすれば得点機を作れるかを感覚的に分かっているのも強みだ。その大迫が連続弾を挙げてくれれば、日本は久しく見当たらなかった絶対的エースというのを手に入れることができる。それだけ大迫に託されるものは大きい。稲本と本田に並ぶ実績を作るのは香川か、果たして大迫か。その両方か。彼らのゴールを期待して次戦を見たい。
元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。
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