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サッカー フットサル コラム 2018年6月20日

チュニジア戦の窮地を救ったのはエースFWハリー・ケイン!イングランドが白星発進

元川悦子コラム by 元川 悦子
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連覇を狙うドイツがメキシコの高速カウンターに屈して0-1で苦杯を喫し、優勝候補筆頭に挙げられるブラジルもスイスと1-1で引き分けるなど、強豪国の苦戦が続く2018年ロシアワールドカップ。そういう状況の中、母国・イングランドの入りがどうなのかも1つの注目点だった。

ガレス・サウスゲイト監督率いる今回のチームは24歳のキャプテン、ハリー・ケイン(トッテナム)を中心とした若くフレッシュなチーム。18日(日本時間19日未明)のチュニジア戦(ボルゴグラード)に先発した攻撃陣は、ケインと23歳のラヒム・スターリング(マンチェスターC)が2トップに陣取り、2列目に22歳のデレ・アリ(トッテナム)や25歳のジェシー・リンガード(マンチェスターU)らイングランド・プレミアリーグで活躍する面々が並ぶという豪華な顔ぶれ。彼らの推進力と爆発力には大きな期待が寄せられた。

そのイングランドだが、開始早々の11分にいきなり先制点を奪う。左CKのチャンスに最終ラインを統率するジョン・ストーンズ(マンチェスターC)が豪快なヘッドを放ち、相手GKが弾いたところに飛び込んだのがケイン。エースFWのいきなりの一発に母国は大いに盛り上がった。その後もイングランドは攻め込んだが、前半34分に自陣ペナルティエリア内でカイル・ウォーカー(マンチェスターC)がファルハディン・ベンユセフ(アル・イティファク)を倒してしまい、PKを献上。フェルジャニ・サシ(アルナスル)に同点弾を決められ、1-1で前半を折り返すことになる。

この同点弾で勇気づけられたチュニジアは後半に入ってからも必死に守り、勝ち点1をゲットしようと奮闘。イングランドもリンガードの決定機が右ポストに当たるなど決め手を欠き、苦境に追い込まれたが、後半ロスタイムとうとう均衡を破ることに成功する。キーラン・トリッピアー(トッテナム)の右CKを岡崎慎司の同僚DFハリー・マグワイヤ(レスター)がヘッドで落とし、左ゴール前に詰めていたケインのところにボールが行った。

このフリーのチャンスを彼が逃すはずがない。確実に決めきり、勝利を引き寄せる2点目を叩き出した。これがイングランド・プレミアリーグで過去4シーズン連続20点以上の数字を叩き出している男の底力だ。絶対的点取屋の2発によって、イングランドは幸先のいい初戦白星スタートを切ることに成功。グループGのライバル・ベルギーに得失点差で1下回る2位につけたが、1次リーグ突破に大きな一歩を踏み出したのは間違いない。

2002年日韓大会と2006年ドイツ大会の8強進出が最高だった最近5大会のイングランドを振り返ってみると、守備の硬さには定評があったが、得点力の部分でつねに物足りなさを感じさせてきた。98年フランス大会はワンダーボーイの異名を取ったマイケル・オーウェンがブレイクしたものの、FWの柱と言うべき選手はいなかった。2002年もオーウェンやエミール・ヘスキーらが奮闘したが、やはり堅守に支えられた印象が強かった。その後の3大会はウェイン・ルーニー(エバートン)という傑出した存在に依存する傾向が強く、彼が止められるとそれ以上の攻撃のアイディアが出せない状況が続いた。

しかし今回のチームはケインを筆頭に、プレミアリーグで実績を積み重ねるタレントが揃っていて、攻めの迫力が大いに感じられる。ケインも大会前はキャプテンでエースという重責に苦しむのではないかとも言われたが、チュニジア戦のパフォーマンスを見る限りでは全く問題ない様子。この勢いで得点王へ驀進する可能性も少なからずある。

スターリングやリンガード、アリも躍動感が見て取れたし、途中出場のマーカス・ラッシュフォード(マンチェスターU)もこの先、何か仕事をしそうな予感を漂わせていたし、出番はなかったジェイミー・ヴァルディ(レスター)やダニー・ウェルベック(アーセナル)も控えているのは大きい。サウスゲイト監督も24日の次戦・パナマ戦ではそういう選手たちに出番を与えるだろう。そうやって攻撃陣がしのぎを削り、競争意識を高めていけば、チーム全体も活性化するはず。そういう意味でも、非常に楽しみだ。

守備陣の方も不運なPKによる1失点はあったものの、伝統の堅守は健在だ。もともとイングランドはタフな守りを信条とする国。そのベースがしっかりしているため、よほどのことがない限り、大崩れしないだろう。攻守両面がかみ合って、完成度を高めていけば、タレント軍団のベルギーにも勝てるかもしれない。彼らがグループGを1位通過できるか否か。そこは非常に興味深いところ。今後の戦いぶりを慎重に見守っていきたい。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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