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サッカー フットサル コラム 2018年6月13日

ポグバはロシアで牙をむけるか!?〈いい子〉にだけはなるな

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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天使か悪魔か、愚者か賢者か……。まるで別人格だ。マンチェスター・ユナイテッドとフランス代表では、ポール・ポグバのパフォーマンスがまったく異なる。

フランス代表のポグバは、なぜ生き生きとしているのだろうか。やはり、ディディエ・デシャン監督が植えつけた戦術的柔軟性が奏功している。強豪との対戦では重心を下げて闘うものの、同格、もしくは格下を相手にした際はハイライン・ハイプレス。しかもエンゴロ・カンテという〈特別〉なディフェンスマスターを擁しているため、ポグバもある程度の自由を享受できる。

一方、ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督は、戦術的に柔軟ではない。どのような場合でも守備を重視し、ハイライン・ハイプレスやボールの即時奪回など、トレンドには無関心だ。また、カンテのようにひとりでふたり分のエリアをカバーするような選手が見当たらず、DF陣も堅実性に欠けるのだから、ポグバのフィジカル、センス、テクニックを発揮するには不十分な環境だ。

しかも中盤を省略し、とりあえずロメル・ルカクに充てることが基本戦略であるため、長短緩急を巧みに使い分けるポグバのパス能力も宝の持ち腐れだ。代表とクラブの比較が暴論であるとはいえ、モウリーニョ監督のプランがほんの少しでも攻撃的にならないかぎり、ポグバは2018-19シーズンも窮屈な闘いを強いられる。

しかしユナイテッドは、シャフタール・ドネツク(ウクライナ)からフレッジを獲得した。ロシア・ワールドカップのブラジル代表でもあり、豊富な運動量と高度なスキルが各方面で絶賛されるMFだ。彼のようなタイプであれば、ひょっとするとポグバを解放するかもしれない。後顧の憂いなく高めにポジションをとり、ルカクやアレクシス・サンチェスを、プライベートでも行動をともにするジェシー・リンガードを、自在にコントロールできるかもしれない。

デシャン、ジネディーヌ・ジダン(前レアル・マドリー監督)とともに1998年のワールドカップ優勝に貢献し、フランス代表の知略的MFとして一世を風靡したエマヌエル・プチも、次のようにポグバを評している。

「ユナイテッド・サポーターは、大逆転勝利を収めたマンチェスター・ダービーを、とくに後半のようなパフォーマンスを毎週のように見たいのだろうね。わたしも同感だ。あの試合の彼は怒りをエネルギーに変えていた」

ポグバの才能を認めるからこそ、近年のパフォーマンスが歯がゆくて仕方がなさそうだ。プチが語ったように、マンチェスター・ダービーのポグバはまさに〈赤い悪魔〉だったが、天使のようにフワフワしている試合も少なくなかった。ロシアでも17-18シーズンをコピーするのだろうか。それとも、牙をむくのだろうか。〈いい子〉にだけはなるな。

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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