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サッカー フットサル コラム 2018年6月8日

ヴェンゲルのDNAを引き継ぎ、ある部分は否定し……

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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新監督にウナイ・エメリを据えたアーセナルは、アルセーヌ・ヴェンゲル体制下とは異なるアプローチで強化を進めている。

ユベントスとの契約が満了したシュテファン・リヒトシュタイナーを、素早い対応で獲得した。ドイツに幅広い人脈を持つズベン・ミズリンスタット強化部長のコネクションを利用し、ボルシア・ドルトムントのソクラティス・パパスタスプーロスとは意間近と伝えられている。シュツットガルトのバンジャマン・パバールとも「相思相愛」とか……。右サイドバックはエクトル・ベジェリンただひとりで、ロラン・コシェルニーの負傷によって深刻な人材不足に陥ったセンターバックを救いうる、実に的確な人選だ。

また、交渉が本格化したとも報じられるドイツ代表GKベルント・レノ(バイヤー・レバークーゼン)は、衰えが目立つペトル・ツェフの後釜としてうってつけの人材であり、エメリ新監督がリストアップしたステベン・エンゾンジ(セビージャ)も、中盤の守備力を高めるためには最適のピースといって差し支えない。

新生アーセナルのチーム創りは基本どおり後ろからだ。中盤と前線に偏っていたヴェンゲルを、全否定するかのようでもある。

チャンピオンズリーグの出場権を失ったために、スーパースターの獲得は難しい。経済力でもマンチェスターの2チームやスペインの両巨頭、パリ・サンジェルマンはおろか、トッテナムも下まわるのだから、人選は限られてくる。したがって競合を避ける必要があり、狭い活動範囲での補強を余儀なくされているが、ミズリンスタットを軸とする強化部の動きは迅速だ。

さて、補強の一環として人員整理も進めなくてはならない。ツェフが二番手に甘んじるとは思えず、移籍は決定的だ。週給ダウンを提示されたジャック・ウィルシャー、攻撃のリズムに調和できないダニー・ウェルベック、状況判断が悪すぎるスコドラン・ムスタフィとセアド・コラシナツも、高い確率で売却の対象になるだろう。「寂しくなるな」と感じるサポーターもいらっしゃるに違いない。

しかし、新シーズンはチャンピオンズリーグの出場権奪還がメインターゲットであり、主戦をプレミアリーグに投入すればいいのだから、選手層をいたずらに拡大するべきではない。余剰戦力はできるだけ高く、なおかつ速やかに整理することが最良の手段だ。

高騰する放映権料の影響でプレミアリーグを取り巻く環境が変わり、世はまさしく群雄割拠だ。すべてのチームに大きなチャンスがあり、奈落の底に突き落ちされるリスクがある。サー・アレックス・ファーガソンが去ったユナイテッドが暗中模索を続けているように、22年にも及ぶヴェンゲルの時代にピリオドを打ったアーセナルの再建も、それなりの時間がかかるだろう。

ただし、新しい幕は開いた。ヴェンゲルのDNAを引き継ぎ、ある部分は否定し、エメリならではのチームカラーを打ち出すことが先決だ。エディンソン・カバーニとネイマール一派が激しく対立したパリSGと異なり、アーセナルは政争と無縁である。環境は悪くない。

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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