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サッカー フットサル コラム 2018年5月23日

ユナイテッドは無駄にデカいだけで、強くも速くもなかった

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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2017-18シーズン終了直前、マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督は胸を張った。

「昨シーズンに比べ、勝点も勝利数も得点数も上まわっている。悲観的な記事が目につくが、われわれの成長はデータが証明している」

【順位】6位→2位
【勝点】69P→81P
【勝利】18勝→25勝
【得点】54点→68点
【失点】29点→28点

おっしゃるとおりだ。データを持ち出されると、異論を挟む余地はない。しかし、なぜモチベーションを維持できないのだろうか。2点のビハインドを覆したマンチェスター・シティ戦の後半と、最初から最後までだらしなかった37節のブライトン戦が同じチームだっていうのか!? ローカルダービーの後半とチャンピオンズリーグのセビージャ戦が、同じ〈赤い悪魔〉だっていうのか!?

サー・アレックス・ファーガソンが率いていた当時のユナイテッドは楽しかった。気持ちだけはつねに感じられた。しかしモウリーニョ体制下のチームは、無気力な試合が多すぎる。そんな感覚で、病床のサー・アレックスに申し訳ないと思わないのか!?

FAカップ決勝も同様だ。サー・アレックスに捧ぐとか、17-18シーズン限りで退任するルイ・ファリア(アシスタントコーチ)のためにとか、いくつかのモチベーションがあったにもかかわらず、プレーの強度は並以下だった。「ロメル・ルカクを負傷で欠いたため、攻撃の形ができなかった」というモウリーニョ監督の発言は責任転嫁である。主力が使えないのなら、プランBを用意するのが指揮官の務めだ。

また、唯一残されたタイトル獲得のチャンスだったというのに、フィル・ジョーンズ、アントニー・マルシャルは心ここにあらずで、マーカス・ラシュフォードは持ち前のスピードを活かす術を知らない。なぜ、チェルシーDF陣の裏を狙うような動きができないのか!?

もちろん、リスクを最小限に抑えるプランに固執し、攻守とも個の力に頼りすぎるモウリーニョ監督にも非はあるが、ケガをすると回復までに長い時間を要したり、先発で起用されると独善的になったり、期待を裏切った選手もシーズンを通して目についた。稼働率を含めたパフォーマンスで判断するなら、及第点以上はダビド・デヘア、アシュリー・ヤング、ネマニャ・マティッチ、そしてルカクの4選手だけだろう。ポール・ポグバはまたしても活躍が限定的で、周囲の期待には応えていない。

監督が頑固で、選手たちは頼りないのだから、すべてのタイトルから見放されたのは当然だ。開幕前に大型の即戦力を獲得し、今シーズンのテーマは「より強く、より高く、より速く」かと思われたが無駄にデカイだけで、強くも速くもない。監督と25歳以下の選手の距離感、ピッチ上のリーダー不在など、改善すべき多くの問題も浮上した。

現在のレベルではマンチェスター・シティに太刀打ちできない。リヴァプールに抜かれるのも時間の問題だ。モウリーニョ監督の性格を踏まえると、来シーズンの基本戦略も守備に多くが割かれるのだろう。

「最後まで観客が席を立たず、両チームのベンチが緊張感を維持した試合が望ましい。一方的な展開などナンセンスだ」(モウリーニョ監督)

ユナイテッドは結果を求められると同時に、攻撃的な姿勢も必要とされることを彼はわかっていない。オールド・トラッフォードから聞こえるシュプレヒコールも寝耳に水だ。

「アタック、アタック、アタック!」

耐え忍ぶだけのユナイテッドなんか、だれも観たくなかった。

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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