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今季イングランド・プレミアリーグの最終節が5月13日に一生開催され、すでに4シーズンぶりのタイトル獲得を決めているマンチェスター・シティがサウサンプトンを1-0で下し、最終勝ち点を100の大台に乗せた。2位のマンチェスター・ユナイテッドとの勝ち点差は19。この数字を見ても、いかにマンチェスターCがダントツの強さを示していたかが色濃く伺える。
UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)出場圏内の上位4チームはマンチェスターC、マンチェスターU、3位・トッテナム、4位・リバプールに決まった。昨季王者のチェルシーはニューカッスルに0-3で大敗するという後味の悪い幕切れで、最終順位は5位。UCL出場権を逃し、UEFAヨーロッパリーグ(UEL)に回るという想定外の結果にとどまった。今季限り21年半チームを率いたアーセン・ベンゲル監督が退任するアーセナルも上位5チームと大きく水を空けられた状態でフィニッシュ。名将は不完全燃焼感を抱えたまま、去ることになってしまった。
一方、下位の方は結局、18位・スウォンジー、19位・ストーク、20位・ウエストブロミッチのチャンピオンシップ降格が正式に決まった。吉田麻也が所属するサウサンプトンは8日のスウォンジー戦で手にした勝ち点3のおかげで命拾いする格好となった。吉田自身、大一番で出場停止という悔しさを味わったものの、マンチェスターCとのラストマッチにはフル出場。世界基準をしっかりと体感して、ロシアワールドカップに挑むことになる。守備の大黒柱である彼には今季の教訓をどう生かすかが大いに問われるところだ。
岡崎慎司所属のレスターは9位フィニッシュ。シーズン序盤の停滞感を考えると、よくここまで持ち直したと言っていい。クレイグ・シェークスピア前監督が率いていた時は勝ち点を積み上げられずに苦しんだが、クロード・ピュエル監督が後を引き継いでからはチームの底上げも進み、選手たちのやるべきことが明確になった。
ただ、岡崎自身は2018年に入ってからはケガ続き。3~4月には一時的に復帰したものの、4月19日のサウサンプトン戦以降はピッチに立てないままシーズンを終えることになった。日本代表の西野朗新監督は彼の高度な経験値を買って、ロシア行きのメンバーに加える腹積もりのようだが、果たしてどうなるのか。今後の動向が大いに気になる。
そして、シーズン終盤の最大の注目点だった得点王争いは最終的にモハメド・サラー(リバプール)が32ゴールをゲット。2位につけていたハリー・ケイン(トッテナム)も最終節・レスター戦で2ゴールを奪って30点に乗せたが、2点及ばず3シーズン連続の得点王はつかめなかった。ケイン自身、14-15シーズンは21点、15-16シーズンは25点、16-17シーズンは29点と着実に数字を伸ばし、今季はついに30の大台に達するまでに至ったが、サラーの勢いと決定力があまりにも凄まじすぎた。本人としても「相手を褒めるしかない」と納得しているのではないだろうか。
それだけ今季のサラーの大躍進は賞賛に値するものがあった。5月26日のUCLファイナル・レアル・マドリード戦を残してはいるものの、ここまでのUCLは10得点。さすがにクリスティアーノ・ロナウドの15ゴールには及ばないものの、ロナウドはリーガ・エスパニョーラの方では25点にとどまっているため、活躍度としてはサラーの方が上だろう。昨季所属したローマではここまで爆発力のある選手ではなかったから、誰もが驚きを禁じ得ないはずだ。
ケインが左右両足や頭でゴールを奪える万能型ストライカーであるのに対し、サラーは強烈なスピードと推進力でグイグイとゴール前まで押していけるタイプ。そのスタイルはユルゲン・クロップ監督の目指すものと見事に合致している。彼は名将との出会いによって自身の特徴をさらに伸ばすことができたのは確かだろう。
加えて、サラーは今季のプレミア移籍によって、ペナルティエリアからの芸術的なミドルなど多彩な得点パターンを見せるようにもなった。ゴールの幅は確実に広がり、シュート技術や精度も目に見えて向上した。ケインより高さがない分、ハイボールを頭で落とすようなシーンは少ないが、ゴールへの道筋を瞬時に見出し、正確に決めきる能力に磨きがかかったのは間違いない。その成長ぶりも高く評価すべき点と言える。
そのサラーがいたからこそ、リバプールはプレミア4位、UCLファイナルという結果を残せた。UCL決勝でレアルの3連覇を阻止できるかどうかも彼のブレイクにかかっていると言っても過言ではない。プレミア勢の意地とプライドをぜひとも見せつけてほしいものである。
元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。
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