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サッカー フットサル コラム 2018年5月4日

合計スコア7-6! 壮絶な打ち合いを制したリバプールが11年ぶりのファイナルへ

元川悦子コラム by 元川 悦子
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ホーム・アンフィールドで行われた4月24日のUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)準決勝・第1レグで、ローマを5-2と一蹴したリバプール。アウェーゴール2を取られたのは余計だったが、圧倒的有利な状況で敵地・スタディオ・オリンピコでの5月2日の第2レグに挑むことができた。

ローマも3点差以上の勝利ならまだファイナル行きの可能性は残されていたが、勢いに乗るリバプールに大勝するのはやはり難易度が高い。ただ、単に守り切って勝とうとしないのが、つねに前進を続けるユルゲン・クロップ監督らしいところ。3点のリードを守ろうと思うなら、5バックに布陣変更して超守備的な戦いにシフトすることもできたが、この日のリバプールもそういう策は採らず、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネの強力3トップの推進力を押し出したサッカーを試みた。

開始9分のマネの先制点には、その意思が明確に見て取れた。相手左MFラジャ・ナインゴランのミスパスを拾ったフィルミーノが左から一気に飛び出してきたマネにラストパスを送り、ゴールを決めるという電光石火のカウンターはまさにリバプールの真骨頂。高い位置でボールを奪えれば、ほとんどが決定機につながる。組織的ハイプレスからタテへグイグイと出ていくスピーディーなカウンターが決まれば、チームにとっては効率的で、勢いも出やすい。そのパターンで彼らは今季UCLを勝ち上がってきたと言っても過言ではない。

早い段階で1点を取り、合計得点を6-2に広げたリバプール。前半15分にジェイムズ・ミルナーがオウンゴールを献上するも、その10分後に左CKからジョルジニオ・ワイナルドゥムが2点目を叩き出し、合計スコアを7-3とする。前半は2-1とリバプールのリードで終了。ボール支配率こそローマが58%と上回ったが、シュート数はローマの7本に対し、リバプールは8本。枠内シュートは0対4と、内容的にもリバプールが上回った。オウンゴールによる失点こそあったが、ここまでは危なげない展開だったと言っていい。

しかし、後半に入ると、追い詰められたローマがギアを一気に上げる。後半7分、左からドリブル突破してきたステファン・エルシャラウィのシュートをGKロリス・カリウスがいったんはセーブするも、こぼれ球を拾ったエディン・ジェコが押し込んで2点目を挙げる。カリウスもいい反応を見せていたが、弾いたボールがジェコがフリーで立っていたところに落ちたのが不運だった。とはいえ、まだ合計スコアは7-4。3点差あれば大丈夫だろうとクロップ監督も選手たちも考えていたのではないか。

それでもローマの粘りは凄まじいものがあった。後半41分にナインゴランのミドルが左ポストを直撃して、そのままネットを揺らすとオリンピコの雰囲気が一変。あと2点を取れば、合計スコア7-7・アウェーゴール数でも並んで延長戦に持ち込める。そのシナリオが見えてきたローマは最後の最後まで諦めずに攻め立て、ロスタイムにはPKをゲット。それをナインゴランが決めたが、無情にもタイムアップの笛。リバプールは合計スコア7-6で何とか逃げ切って、26日のレアル・マドリードとのファイナルに進むことができた。

リバプールにとってはミランとの決勝に敗れた06-07シーズンUCL以来、11年ぶりの大舞台。UCLタイトルは04-05シーズンから遠ざかっているだけに、千載一遇のチャンスを逃したくはない。相手は3連覇を虎視眈々と狙っているレアルということで、今回のローマほどスキは見せてくれないだろう。サラー、フィルミーノ、マネの3枚看板が確実にゴールを奪うのはもちろんのこと、それ以上に強固な守備を再構築することが肝要だ。

今回のローマとの2試合を見ても、2試合連続で終盤に失点を重ねていて、ゲームを締めるところができていない。今回の第2レグの走行距離もローマの113・72㎞に対し、リバプールは115・23㎞と上回っていて、運動量が多い分、ラストの時間帯に体力低下を余儀なくされるのだろうが、そこをクリスティアーノ・ロナウドら老獪なタレントたちは確実にモノにしてくるはずだ。

今季リバプールに残されたゲームは、6日のチェルシー戦、13日のブライトン戦というプレミアリーグの2試合と、UCLファイナルだけ。レアルとの大一番前の2試合で守備の修正という重要テーマをしっかりとやり切っておくことが肝要だろう。失点を極力減らし、リバプールらしい躍動感あるサッカーを研ぎ澄ませていけば、眼前に立ちはだかるレアルという巨人を倒すことも夢ではない。まずはプレミアのラスト2戦を大事に戦って、最高の状態を作り上げることを心がけてほしいものだ。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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