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プレミアリーグの得点王争いは、31ゴールのモハメド・サラー(リヴァプール)が首位を走っている。
ペナルティーボックス内でボールを受け、マーカーを背負いながら反転して放つ左足シュートは、分かっていても止められない精度にまで磨きがかかった。「チャンスメイカーのイメージだったが、正真正銘のゴールゲッターだね」とユルゲン・クロップ監督が相好を崩したように、ASローマでプレーしていた当時とはまるで別人だ。プレーエリアが中央寄りになったこと、クロップ監督が典型的なセンターフォワードを必要としていないことも幸いし、前線である程度の自由を享受できるようになった。
したがって、よりゴールを意識するプレーヤーへの変貌は、当然の帰結だったのかもしれない。しかし、残り試合が得点王の障壁になる恐れが浮上してきた。
◆4月28日:ストーク戦(H)
◆5月7日:チェルシー戦(A)
◆5月13日:ブライトン戦(H)
厄介な相手ばかりである。ストークは残留、チェルシーはCL出場権に向けてひとつも負けられず、最終節で闘うブライトンも、この一戦にプレミアリーグの座がかかるケースが十分に考えられる。ストーク戦から中四日で迎えるローマ戦(5月3日・CL準決勝2ndレグ)も含め、インテンシティの高い試合になるだろう。当然、サラーは厳しいマークにさらされ、負傷の危険がはらむ。彼とリヴァプールにとって、ありがたくない流れだ。
なにしろ2位のハリー・ケイン(トッテナム)とは、わずか5ゴール差だ。しかもリヴァプールは消化試合がひとつ多い。まだ安全圏とはいえないだろう。
では、ここでトッテナムのスケジュールをチェックしてみよう。
◆5月1日:ワトフォード(H)
◆5月5日:ウェストブロム(A)
◆5月10日:ニューカッスル(H)
◆5月13日:レスター(H)
ワトフォード、ニューカッスル、レスターは今シーズンの目標を達成し、モチベーションはすっかり低下しているに違いない。ウェストブロムも降格が決まっているだろう。ケインにすれば、毎試合がフルコースのディナーだ。おいしい、おいしすぎる。さらに、昨シーズンもラスト3ゲームで8ゴールを荒稼ぎ。エヴァートンに所属していた当時のロメル・ルカク(現マンチェスター・ユナイテッド)との4ゴール差を覆し、逆に4ゴールの差をつけた実績もある。繰り返すが、サラーとの差はわずか5ゴールだ。〈射程圏〉と表現して差し支えない。
いま、得点王争いはふたりに絞られた。サラーは1試合の平均得点率1・05%という抜群の堅実性を誇り、ケインの爆発力は世界が認めている。逃げ切りか!? 大逆転か!?
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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