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GKの人材不足は20年近くにわたる課題だが、3月23日のオランダ戦、27日のイタリア戦(ともに親善試合)に臨むイングランド代表のメンバーをチェックしてみると、アウトサイドも不安が募る一方だ。
カイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)、ダニー・ローズ、キーラン・トリッピア(ともにトッテナム)、ジョー・ゴメス(リヴァプール)、ライアン・バートランド(サウサンプトン)、アシュリー・ヤング(マンチェスター・ユナイテッド)……。ロシア・ワールドカップ開幕が約3か月後に迫ったいま、計算できる戦力はウォーカーただひとりといって差し支えない。。
ヤングはフィジカルの不安がぬぐえず、トリッピアとゴメスは経験不足だ。バートランドは残留争いに巻き込まれたためか、プレーがすっかり小さくなってしまった。また、期待されていたルーク・ショー(ユナイテッド)はコンディショニングに難があり、最終テストの一環であるはずの2試合でも選外となった。イングランドを率いるガレス・サウスゲイト監督の構想には入っていない、と判断していいだろう。
右アウトサイドはウォーカーに任せられるとしても、左アウトサイドには決定的な人材が見当たらない。本大会までにローズの体調が急速に整えば問題は解消されるが、彼はトッテナムでベン・デイビスの後塵を配している。待遇改善を訴えて首脳陣と対立するなど、プレーそのものに全力を傾けていないこともマイナス材料だ。
そこで……。
アレックス・オクスレイド=チェンバレンという選択肢は考えられないだろうか。現時点では当落線上のひとりだ。アーセナルからリヴァプールに移籍した今シーズンは戦略・戦術の理解に手間取り、定位置争いに参戦するまで時間もかかった。しかし、両ウイング、中盤センターもこなすマルチな才能は各方面で高く評価され、天性のバネを利した突破力はイングランド代表でも貴重な武器になるはずだ。
左サイドを主戦場とする候補者たちは、帯に短したすきに長し──である。今シーズンのパフォーマンスを踏まえても、オクスレイド=チェンバレンを上まわる者はいない。ファビアン・デルフ(シティ)の復帰もありうるとはいえ、彼もまたコンディショニングに大きな不安を抱えている。
クオリティ不足の左アウトサイドは、GKとともにイングランドの成否を分けるポイントだ。ならば、今シーズンのパフォーマンスを重視し、オクスレイド=チェンバレンに託すべきではないだろうか。いま、彼は心身ともに充実している。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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