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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引き込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。 「栗村修の"輪"生相談」では、日頃のライドのお悩みからトレーニング方法、メンタル面の相談など、サイクリストからの様々な相談にお答えしております。栗村修に聞いてみたい、相談してみたいことを募集中。相談の投稿はこちらから。

2024年11月19日

【輪生相談】先日テレビ番組の中で、女性タレントが男性に引いてしまう行為として「ロードに乗っている男性」というのを例に挙げていましたが、ロードバイクの世間的なイメージアップを行えないでしょうか?

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ロードバイクの世間的なイメージアップを行えないでしょうか。先日テレビ番組の中で、女性タレントが男性に引いてしまう行為として「ロードに乗っている男性」というのを例に挙げていました。確かにピチピチのウェアでハアハア言いながら自転車を漕ぐ男性がカッコいいとは言えないかもしれませんが、ロードの爽快感は他に代えがたいものがあります。ですので、逆にそういう意見の女性タレントをライドイベントやサイクルモードなどにゲストとしてオファーして良さをわかってもらったり、逆にはっきりダメ出ししてもらうというのは業界的な盛り上げ方としていかがでしょうか。上手くプロレスのヒール的な立ち振舞をしてくれる女性タレントであれば、お互いメリットが生まれそうです。自転車への(世間的な)向い風ではなく追い風が吹いてくれることを期待しています。

(男性 会社員)

■栗村さんからの回答

栗村さん

ロードバイクは、「ルックスにおける参入難易度」がとても高い趣味です。ウェアはピチピチですから体型を誤魔化す余地がほぼありませんし、シューズには変な突起がついていますから、スタイリッシュに歩くのは難しく、サイクリストがよく利用するコンビニに入ると、ペンギンみたいな歩き方の皆さんがプロテインドリンクの前を行ったり来たりしています。一般目線で格好良くあることがそれなりに難しい趣味なんですね。

20240721TDF0222-A.S.O.jpg自転車乗りのプロっぽい仕草集をYouTube栗村修しゅ~くり~むらで配信中

でも、スキーなら中年太りのオジサン体型でもウェアを着込んでサングラスをしてゲレンデ横のテラスでコーヒーをすすっていればなんとなくかっこよく見えますし、ゴルフもサーフィンも、まあ誤魔化しは効きますよね。そもそもスキーもゴルフもサーフィンも「今からやるぞ!」というスタンバイ状態のまま一日中カッコつけている方が意外と多いと聞きます。しかし、ロードバイクは鍛え上げられたカラダで正しいフォームで走ってはじめてその美しさを表現できるので、やはり厳しいのです。

ですからこの女性タレントのおっしゃることもわかるのですが、一方で、彼女は本場のプロ選手などの「完成版」を見ていない可能性は高いと思います。プロ選手は速いだけでなく、体型も振る舞いも美しいのが特徴です。特にサイクルウェアを身につけた際のお尻から下のラインは秀逸ですし、自転車に乗っていない時の所作も大変かっこよい。そういうサイクリストが多ければ、確実に世間の見方も変わるでしょう。もっとも、本場のプロ選手は普段着になると逆にあまりパッとしないことの方が多かったりするのも事実ではありますが。

というわけで、キャンペーンも良いとは思いますが、結局のところ一人ひとりのサイクリストの所作というか振る舞いが世間の印象を決めていくのだと思います。

日本のサイクリストって、あまり周囲の目を気にしない傾向があると思います。元々、ひとりで楽しめるアクティビティなので自分の世界に没頭するというか、まわりからどの様に見られているかを気にしていなのだと思います。

ただ、そういう価値観は必ずしも一般的ではありません。多くの人は他者の目を意識して生きていますから、そういう人々から見たサイクリストの所作が「自転車乗りの一般的なイメージ=あまりスタイリッシュな趣味ではない」という印象に繋がってしまうのはしょうがないかもしれません。

一方、欧米の一般サイクリストのYouTubeなどを見ると、プロ選手でもないのに非乗車時でも大変スタイリッシュだったりします。やはり欧米人の体型とサイクルウェアがマッチしているところは否定できませんが、それと同時に彼ら欧米人の所作がタイトなサイクリストファッションを引き立てているのです。

和服に合う振る舞いってありますよね。元々、和服は日本人の体型に最適化された服だと思うのですが、同時に和服を着た際の歩き方や振る舞いを日本人が身に着けているのも、和服が格好良く見える理由だと思います。逆に、欧米人が和服を着ても違和感だらけですし、一般的な欧米人の所作は和服にはまったくマッチしません。

ちょっと深い話になってしまいましたが、サイクリストは「欧米化」が基本になっている面はあります。体型はなかなか変えられませんが、せめて所作だけでも欧米化することで、サイクリストのイメージアップ戦略に繋がるはずなのです。

最近思うのですが、今の若いホビーレーサーはその辺がとても洗練されてきましたね。ウェアもクールですし、なんというか、僕が選手だったころと比べると、振る舞い全体が改善されている気がします。そういうサイクリストの割合が増えてくることで、社会の目も変わってくるのではないでしょうか。

ちょっと古いですが、J SPORTSとのコラボ動画で「プロっぽいイケてる仕草」について考察・紹介したことがあるので、ご興味がある方は見てみてください。


皆さんも恥ずかしがらずに、ぜひ振る舞いの「トレーニング」も取り入れてみてくださいね。

文:栗村 修・佐藤 喬

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