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サイクル ロードレース コラム 2013年9月17日

最後の一滴

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

宇都宮ブリッツェンの中村誠キャプテンが、今朝のブログで今シーズン限りでの現役引退を表明しました。

『ツール・ド・北海道』 の第1ステージスタート前、自身最後の北海道となることを噛みしめるようにそっと涙を流した中村選手…

彼は自分が持つ肉体的資質を、ほぼ最後の一滴まで絞り出した数少ない選手です。

元々怪我が多く、体も決して強い方ではなかったので、年齢の割には心身ともにその消耗度は高かったと思います。

来季のチーム構成を相談するなかで、

『どんどん体がきつくなっています。自分が引けば未来のある選手を採れる。自分のことはどうにでもなるので迷わずそうして下さい。宇都宮ブリッツェンは強くあり続けなくてはいけません。』

中村選手らしい言葉でした。

彼にとっては全てがシンプルだったのでしょう。

『やる以上は妥協せずにやる、それができないならやめる』

世間一般の感覚よりも白黒の濃度が高かった中村選手は、時に誤解を受けてしまうことも少なくありませんでした。

中村選手に残されたレースはあとわずか。

彼にとっては無理な注文かもしれないけれど、少しだけ楽しみながら残りのレースを走って欲しいと感じています。

我々の契約は皆12月31日までの1年間。

中村選手はその日が来るまで全力でこのチームのために尽くすことでしょう。

栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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