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【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第20ステージ】ポガチャル6勝目で有終の美。ツールに向け最終準備も完了。「ジロを良い気分で、良い脚で、良い体調で終えられた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかアタックの直前まで後輪にしがみついていた総合2位ダニエル・マルティネス、5位アントニオ・ティベーリ、8位エイネルアウグスト・ルビオは、もはや無駄な抵抗はしなかった。はるか遠くの手の届かない存在ではなく、誰もが現実的なライバルとの戦いに集中した。特に表彰台へのジャンプアップ目指して、上りでも、下りでも、ティベーリは勢力的に攻め続けた。
ただオコーナーにとって幸いだったことに、「脚は今大会最高の調子だった」ヴァランタン・パレパントルが側についていた。マイカの加速で気持ちが切れかかったエースを、第10ステージ区間覇者は叱咤激励し続けたという。すぐに合流したトーマスも「彼ら2人と一緒に走れたのは幸運だった」と振り返る。おかげで上りで差を最小限に留め、長い下りで、無事にマルティネス集団との合流を成功させた。
最終的に総合2位から5位まで、ポガチャルから2分07秒遅れで揃って1日を終えた。マルティネスは人生初のグランツール表彰台乗りを達成し、この日が38歳の誕生日だったトーマスは、2年連続のジロ表彰台を確定させた。オコーナーは2021年ツール総合4位に続いて、またしても総合4位に終わることになるけれど……デカトロン・AG2Rラモンディアルのチーム総合首位はもはや揺るがしようがなく(2位イネオスに44分以上もの差をつけている)、チーム全員でローマの表彰台を楽しむことができそうだ。そしてティベーリは、大会の母国イタリア人としては9年ぶりに、新人賞に輝く。
勝利を確信しファンサービスをするポガチャル
ちなみに山頂ですでに2分差をつけたポガチャルが、勝利を早々と確信し、ラスト数キロでファンサービスを始めてしまったせいか、それともマルティネスが第2中間ポイント2位通過(2秒)+フィニッシュ3位(4秒)のボーナスポイントを収集したおかげか……総合首位と2位の差はぎりぎり10分に達しなかった。それでも9分56秒差は、ジロでは1965年(11分26秒)以来の大差。グランツール全体を通しても1984年ツール(10分32秒)を最後に、過去40年、これほどの独裁は見られなかった。
「タイム差なんて重要ではない。たとえ1秒差だって、勝ちは勝ち。このジロでは、ただ単純に大差がつく流れになっただけ。でも決して簡単な戦いなんかじゃなかった。僕は2位の選手にも、3位の選手にも、そして毎日戦い続けたすべての選手に敬意を表したい」(ポガチャル)
「ファンのために勝ちたかった」と語るポガチャル
序盤2日間を除いて、後はひたすらマリア・ローザをまとい続けてきたポガチャルの、ピンク色の日々もいよいよ大団円を迎える。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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