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サイクル ロードレース コラム 2024年6月19日

着用できるのはただひとり! 日本チャンピオンジャージを賭けた年に一度の大一番【Cycle*2024 全日本自転車競技選手権大会 ロードレース:プレビュー】

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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全日本自転車競技選手権大会

全日本自転車競技選手権大会(2023)、今年は静岡県伊豆市・日本サイクルスポーツセンターにて開催される

国際自転車競技連合(UCI)によって、6月最終週末を基本として定められているロードレースの国内選手権。今年はパリ五輪開催にともなうレーススケジュール調整で、1週前倒しでの設定に。世界的に、6月20日頃から23日にかけて国内王者をかけた戦いが繰り広げられる。

日本も例外ではなく、6月21日から23日までの日程で全日本選手権を開催。昨年と同じく、静岡県伊豆市・日本サイクルスポーツセンターを舞台に熱戦が期待される。

期間中に開催されるレースは以下の通り(競技プログラム順)。

6月21日(金) 個人タイムトライアル
男子U23(25km)、女子エリート+U23(25km)、パラサイクリング(15km、10km)、男子エリート(30km)

6月22日(土) 個人ロードレース
男子U23(112km)、女子エリート+U23(88km)

6月23日(日) 個人ロードレース
男子マスターズ30~39歳+40~49歳(56km)、男子マスターズ50~59歳+60~69歳、女子マスターズ(32km)、男子エリート(160km)

本記では、6月23日に行われる男子エリートロードレースをメインにプレビューしていく。

160kmで争われるレースは、8kmコースを20周回。平坦区間がほとんどない、アップダウンが連続するレイアウトが大きな特徴だ。急勾配の登坂が控える一方で、下りの距離が長いこともあってプロトンの人数が終盤まで絞られにくい傾向は、昨年のレースで実証されている。終盤抜け出した4人がそのまま優勝争いへと転化したように、脚を残して一気に流れを呼び込める力を持った選手に有利となることだろう。

前回大会では、JCLチーム右京勢がワン・ツーフィニッシュ。4選手による優勝争いに山本大喜と岡篤志を乗せ、最終盤で山本が独走。岡がライバルの抑えに回りながら、最後は2位争いを制した。今年もこの2人に、先のアジア選手権で日本代表入りした小石祐馬、ベテランの増田成幸と石橋学も加えて、戦力としては最も充実しているといえる。

ここに、組織力の高いチームが強力エースを擁して挑む構図が見られそう。キナンレーシングチームは前回3位で2018年日本王者の山本元喜。愛三工業レーシングチームは同じく4位の石上優大と2021年日本王者の草場啓吾。シマノレーシングはツアー・オブ・ジャパン(TOJ)で見せ場を作った中井唯晶と石原悠希。同じくTOJで活躍したマトリックスパワータグの小林海。宇都宮ブリッツェンは谷順成。国内シリーズのJプロツアーでこのところ無双状態にある群馬グリフィン・金子宗平。これらのチームがどのあたりからレースを動かして、エースを前線へと送り出すかも大きな見どころ。

そして忘れてはならないのが、単騎で臨む2人のUCIワールドチーム勢、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)と留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)だ。

2年前の大会では国内コンチネンタルチーム勢の徹底マークに遭いながらも、それを打ち破った新城の勝利はいまなお印象的。昨年は8位に終わったが、これまで同様にマークが厳しくなるレースへの対策はしっかり練ってくるだろう。最高の形で来るパリ五輪へと向かっていけるか。留目はヨーロッパでのプロ活動1年目ながらミラノ~サンレモなどのビッグレースを経験し、スケールアップして日本へと戻ってくる。両選手が果敢に仕掛けていくと勝負は急速に活性化する。

そのシーズンの日本王者を決める、年に一度の大一番。全日本選手権だけは、他とはまったく異なる独特のムードの中でレースが進む。それゆえに、予想を一段も二段も上回る思いがけない展開が待っていることも少なくない。しかも、本記執筆時点(6月19日)でのレース当日の天候は雨。気象コンディションもプロトンに影響を及ぼす可能性が高い。とにかく、この一戦ばかりは「最後まで成り行きを見守るしかない」のである。

なお、21日に実施される個人タイムトライアルは、前回ワン・ツーの小石と山本に岡を加えたJCLチーム右京の3本柱に、新城、留目、金子、宮崎泰史(キナンレーシングチーム)などが上位を争うことが予想される。

ロードレース・個人タイムトライアルそれぞれの勝者には、白地に赤の2本線と日の丸があしらわれる、栄えの日本チャンピオンジャージが贈られる。次回までのおおよそ1年間、当該種目において着用しレース活動を行うことができる。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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