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【ツール・ド・フランス2023 レースレポート:第2ステージ】乾坤一擲のアタックを決めたヴィクトル・ラフェがキャリア最大の勝利 計画遂行をみずから引き寄せた確たる自信
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介しかし、一撃のアタックが状況を激変させた。残り1kmを示すフラムルージュ通過と同時に飛び出したのはラフェだ。ユンボ・ヴィスマのアシスト陣がいまひとつスピードに乗せきれていないのも関係し、あっという間に数秒差に開いた。
「このような形で勝ちを狙った経験がなかった。最初の500mは最高の気分だったよ(笑)。だけど、最後の500mは恐怖さ。400m、300m、200m…と心の中でカウントダウンしながら逃げていた。フィニッシュ直前のことはほとんど覚えていない。気が付いたときには勝っていたんだ」(ラフェ)
ビスケー湾沿いの最終ストレートで、集団もスプリントを開始。ワウトやポガチャルが加速し、ラフェに近づいた。しかし、ラフェが言うところの“最初の500m”で得たリードがモノをいった。27歳のフレンチマンのキャリア4勝目は、ツールという最高の舞台で完成した。
2021年にはジロ・デ・イタリアでステージ優勝しているし、今年も4月に1勝を挙げている。春のクラシックでは、ラ・フレーシュ・ワロンヌで6位。もっとも、前日の第1ステージではポガチャルやヴィンゲゴーをしたがえてトップを走る見せ場も作った。これまでの実績だけ見れば“大金星”との言葉がピッタリくるが、持っている力はツールのステージ優勝にふさわしいものである。
抜群のアタックで勝利をさらったヴィクトル・ラフェ
「昨日のステージは6位だったけど、トップ10フィニッシュには興味がない。あくまで目指していたのはステージ優勝なんだ。確かに昨日の走りは自信になったよ。今日のアタックに結びついたことは間違いない」(ラフェ)
コフィディスとしても、ツールでの勝利は2008年以来。ホスト国の雄でありながら、15年間勝てずにいた。昨年、バンジャマン・トマ(今大会は不出場)がフィニッシュ目前まで逃げながら集団に飲み込まれたステージがあったが、そんな悔しさもすべて糧にして、ラフェの劇的勝利につなげた。
マイヨ・ジョーヌはというと、引き続きアダムが着ることに。ポガチャルをサポートしつつ、きっちりメイン集団でレースを終えた。この日のスタート前には、フランスメディアを中心に「ポガチャルとアダムの共同エースはあり得るのか?」なんて議論も沸きつつあったけど、彼らの走りを見る限りはポガチャルがUAEチームエミレーツのエースで間違いはなさそうだ。何なら、彼はステージ3位に入ったことで1日で12秒のボーナスをゲット。アダムから総合タイム6秒差で2番手に上がってきて、いつでも“飛び出せる”態勢を作り出している。
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