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サイクル ロードレース コラム 2023年5月8日

【Cycle*2023 ラ・ブエルタ フェメニーナ:レビュー】アネミエク・ファンフルーテンが女性版グランツール5大会連続個人総合優勝! 今季最強のデミ・フォレリングとの激闘はわずか9秒差で決着

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ラ・ブエルタ フェメニーナ

区間1勝、総合3位、山岳賞と大健闘のガイア・レアリーニ

そして迎えた“アストゥリアスの巨像”。ここまでくれば、あとは当人たちによる力勝負に限られる。残り10kmでフォレリングがペースを上げると、一瞬にして集団が崩れる。何とか対処するファンフルーテンだが、しきりにバイクをチェックしたりチームカーと無線で交信したりと慌ただしい。両者の状勢はひと目にして明白となる。

この2人の最終決戦に割って入ったレアリーニが残り5kmでアタックすると、ファンフルーテンが耐え切れず遅れ始める。ここぞとばかりにペースアップを図るフォレリングとレアリーニは、リードを広げて霧が立ち込める頂上へ。最後はレアリーニを振り切って一番に登頂を果たしたフォレリング、あとはファンフルーテンの到着を待つだけ……。

逆転には1分5秒差(ボーナスタイムをのぞく)が必要だったが、濃霧の中からパッションカラーが姿を現したのはフォレリングのフィニッシュから56秒後。この瞬間、ファンフルーテンのブエルタ制覇が確定した。

「正直、脚がないことは分かっていました。前日のステージで使い果たしてしまっていましたからね。今日は限界まで追い詰められました。みんな本当に強かった。でも、私も最後まで戦い抜きました。フィニッシュして、チームスタッフが喜んでいる姿を見たときに勝ったと分かりました」(ファンフルーテン)

地の利を生かした戦術で絶対リーダーを女王に押し上げたモビスター チーム・ウィメン。ファンフルーテン自身も、パートナーの故郷がコバドンガ近くの街であることから、どうしても今大会を勝ちたかった。純粋な脚勝負ならフォレリングに分があっただろうが、そこはやはり熟練の業というべきか。展開やコンディションを巧みに利用して勝利を手繰り寄せたのだった。

ファンフルーテンとフォレリングの好勝負はまだまだ見られるはずだ。6月30日からのジロ・デ・イタリア ドンネはフォレリングが欠場見込みだが、7月23日からのツール・ド・フランス ファムで再戦が期待される。何なら、5月12日から始まるウィメンズワールドツアー次戦のイツリア・ウィメン(スペイン)に両者とも出場予定だ。

もちろん、この2人だけではない。終盤2ステージの好走で個人総合3位までジャンプアップしたレアリーニもいるし、ブエルタを回避して先々へ向けた調整を進める選手たちだって……。

「私のキャリアはこの大会で始まったようなものです。いま必要なことは、改善と成長を目指していくことだけ。将来的にはもっと良い走りができるはずです」(ガイア・レアリーニ)

ウィメンズプロトンは、群雄割拠の時代を迎えている。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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